【wrwrd】距離感バグかよ 2

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窃盗犯、現る。
目の前の先輩はお疲れ様です〜とにこやかに返すが、知り合いの私はわなわなと震えて睨むことしか出来ない。

『最後の1つだったのに…』
｢子どもか。ごめんって｣

ロボロさんの馬鹿と小さい声で洩らせば、｢オイ、一応先輩やぞ｣と軽く頬を摘まれた。暴力反対。先輩は相変わらず2人仲がいいですねと笑っているが助けて欲しい。

｢今日はこれから会議ですか？｣
｢おん。資料とサンプルが届いたって言うから一足先に俺が来たんやけど…ちょっと早いから皆昼休憩中で俺も暇してんの｣
『暇だからって私の頭の上で休まないでください』

座っている私の後ろに立ち、そのまま腕を頭に乗せる暴君ぶり。どこかの幼馴染みたいですが…とは言わずに顔だけで語れば、はいはいと空いていた隣の椅子に腰掛けた。

｢なんや色々大変そうやけど、元気そうでよかったわ｣
｢そうなんですよ！Aちゃん今幼馴染の知人の家に住んでるみたいだし大変そうですよね〜｣
｢……へぇ？｣


仲のいい私達なら知っているかと世間話ついでに零した先輩の言葉に目敏く反応するロボロさん。"幼馴染の知人"というワードでざっと思いつくのは彼のメンバーの中の1人だと分かっているからの視線だろうが、特に詳細は話していなかったので内心『ｱｯ、やべ。面倒なことになる』と冷や汗4リットルくらい流れた。

冷ややかな視線に口元だけは微笑み見つめてくる様を見て彼は腹黒要員だということを思い出す。微かに震えた携帯を机の下で確認すれば、

ロボロあとで詳細説明。逃げんなよ


とだけ来た。場面に似合わずトントンさんに似た可愛らしい関西弁の子豚のスタンプで陽気に"OK！"と返せば再び鋭い眼光を向けられ怯む。
知人はトントンさんっていう意味も含めてんのよ伝われよ！

勝手に(内心)グズグズ泣いてる私を差し置いて、女性先輩とロボロさんは盛り上がっている。そうこうしている内にも昼休み終了が迫っているため慌てて口に掻き込む。

するといつの間に来ていたのか、仲のいい男の先輩が｢Aちゃんハムスターみたいになってるね｣と微笑んで頬についていたらしい米粒を取ってくれた。

あまりにも自然な流れだったのと、この歳になって米粒を付けていたのかと恥ずかしくなった。先輩はロボロさんの名字を呼び、会議室へと誘導を始めたので軽く手を振る。


ロボロ何あいつ。めっちゃ気に食わん



……知りませんよ。



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