【文スト】甘えたいだけ【太宰治】 続

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“ マフィアを抜けろ ”



確かに首領はそう言った。





「あの、失礼ですが理由をお伺いしても…?」






まぁ、何となく想像がつくのだけれど。







「嗚呼、善いよ」





「君、太宰君を好いているだろう？」


「また、太宰君も君を好いている」


「マフィア内での色恋は仕事に支障をきたす」


「太宰君と君では天地ほどの実力差があるんだ」


「天秤にかけるまでもないよ」







「そう、ですか…」






「何か異論でもあるかね？」







「いえ。ですが…おさ、…太宰幹部に理由は伝えないで頂けますか？きっと彼は勘づいてしまうでしょうけど…」




「それは勿論、そのつもりだよ」


「あと、君には新しい仕事も紹介しよう」




「そうですか、有難う御座いました」





首領に背を向け、執務室から出て行く。





自分の実力不足に対する悔しさと、



もう治くんに会えないのだと言う悲しさと。





感情と呼べるのか分からないものが


溢れて止まない。







嗚呼、なんて虚しいのだろう。

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