仇話 岩城升屋事件 ページ11
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「外に出たいだァ？」
ここ数週間ずっと屯所内に居た。
やることもなく、何か手伝おうとしても断られる日々。
迎え入れることはしてくれたものの、未だに皆の目には警戒の色が浮かんでいる。
「…逃げませんよ、別に。誰かと一緒でも良いですし」
「駄目だ」
「ちょ、ちょっと待てトシ。たまには良いんじゃないか？こうもずっと屯所に居ては禁錮と変わらないだろう」
「近藤さん…ハァ、クソ」
近藤局長の言葉にガシガシと頭を搔いた土方さんは舌打ちをした。
「＿＿＿二時間で戻れ。いいな？…戻らなかったら」
「斬る、ですよね」
「…行け」
「有難う御座います」
一礼して部屋を出る。
久々の外だ。屯所を出てのんびりと京の街を歩きながら色々な店に立ち寄ったり路地に寄ったりして土地感覚を身に沁み込ませていく。
「いらっしゃい」
ふと立ち寄った甘味処でぜんざいとお茶を頼んだ。
外の通りに目を向けてぜんざいが運ばれてくるのを待っていると、向かいの呉服屋に人が集まり始める。
そっと聞き耳を立てると、どうやら数人の浪士と店が揉めているらしい。
＿＿これは止めに入るべきなのか。丁度運ばれてきたぜんざいと外を見比べる。
…もうどうにでもなれ。勘定を置いて店の人に謝り、外に出る。
人垣に近寄ると声がはっきりと聞こえてきた。
「そんな...！御許しください！」
「いいや許す訳にはいかねぇな」
如何やら呉服屋の店主に浪人が絡んでいるらしい。
どうするべきか考えていると背後から町人たちに身体を押され一歩、二歩と前に進んでしまう。
そして最悪なことに何の策略も無いまま浪士たちの前に不格好に押し出された。
「なんだ、貴様」
「エ〜ッと」
「関係無エ奴はすっこんでな！」
「新選組隊士、焔」
諦めて名乗る。新選組という言葉を聞いてみるみる顔つきが変わった浪士たちは声を張り上げた。
「新選組？！」
「壬生浪ごときが…！」
「丁度いい、やってしまえ！！」
刀を抜いて此方こちらに向かってくる男を足蹴する。
「この野郎！」
口だけは達者の浪士たちは私に尽ことごとく攻撃を躱かわされ怯む。
残り一人になった男は尻を地につけて助けてくれと泣き言をぼやいていた。
「弱くて逃げ出すなら最初から手を出さなければ良いのに」
店主に縄を借りて男三人を縛り上げたところに山南さんが来た。
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アルム(プロフ) - 優奈さん» コメントありがとうございます(T_T)これからもゆっくりですが更新頑張ります！ (2021年7月9日 8時) (
レス) id: cdfe86e34f (このIDを非表示/違反報告)
優奈(プロフ) - まだ少ししかお話が出ていないけど、もう既に面白い！更新頑張って下さい！！応援してます！ (2021年6月20日 21時) (レス) id: 9adca48001 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アルム | 作成日時：2021年6月15日 8時
