Be My Last (ページ34)

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その日の翌日は、各自休みに専念した。
かくいう私もほぼ睡眠にあてていたわけだが…

ミッションが遂行できた以上、長居するのはよくない。
寝ぼけ眼でそう考えた私は、さっさと荷物をまとめて2broのアジトを出ることにした。

「ということで、近日中に出ようと思います。ダラダラお世話になるわけにもいきませんし」

そう告げたのは、その日の晩ご飯中。
今晩のディナーはピザとコーラだ。

乙「気にしなくていいのに！寂しいよねえ兄者」

兄「なんで俺に振るんだよ。本人の好きにしたらいんじゃねえの、元々恵比寿を倒すために組んでたわけだしな」

弟「冷たいなぁ…もう行くあてあるの？」

「や、実は何も決まってないんです。
でも闘うことしか能がないので、また用心棒でもしようかと思います」

そもそも実現するなんて思っていなかったから、将来は考えもしなかった。
とりあえず無職です、と笑ってコーラを一口飲んだ。

乙「じゃあうちにずっといたらいいじゃん」

「えっ？…でも、」

弟「うん。Aちゃん強いし、仲間になってくれたら嬉しい」

思いがけない2人の言葉にどきりとする。

実は、本当の仲間だったら…と考えたことはあった。
人といることはこんなにも楽しいのかと。
居場所があるって、こんな感じなのかと。

「迷惑になりませんか…私なんかが」

兄「お前の好きにしたらいいよ。弟者もおっつんも喜ぶしな」

頬杖をつきながらぼそりと呟く兄者さん。
言い方はぶっきらぼうだが、その声色はとても優しい。

乙「弟者くん、君のお兄さんかっこつけてるよ」

弟「兄者も嬉しいくせに」

兄「シャラップ」

胸の奥から、温かいものが込み上げてくる。

弟「え、泣いてるの？」

「うっ…すみません…嬉しくて」

乙「あー兄者くんが泣かせたー」

兄「え、俺⁉」

焦る兄者さんに、それをちゃかす乙一さん。
弟者さんは私を笑わせようと冗談を言ってくれる。

家にも戻れず、恵比寿にも迎合できなかったあの日。
ずっと孤独だった。でも今はどうだ。

目の前の人たちは、利害もなく笑いかけてくれる。
こんな喜びは知らなかった。

「本当に、ありがとうございます…私死ぬほど頑張ります」

兄「いや死ぬなよ」

乙「そうそう、僕は君がいてくれるだけで嬉しいんだから」

弟「改めて、これからよろしくねAちゃん」

巡り巡ってたどり着いた最後の居場所。
この幸せがずっと続きますように。
そう願って、笑顔で返事をした。

完