Be My Last (ページ28)

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「うわ、べこべこ」

弟「くそ～読まれてたとは…」

穴だらけになったワゴン。紛れもなく2broの車だ。
応援に駆けつけた時にはすでにことは終わっていて、残されたのは潰された3台の車のみ。

人目につく道路なので、早々に撤退した。

乙「ガトリング積んでんだもんなぁ」

弟「でも、なーんでおとりを蒔いたのに何も仕掛けてこないんだろう」

兄「狙いが別にあるんだろ」

「…あの、奴はもう会合場所にいる気がします」

ぽつりと呟いたその一言に、皆静まり返った。
慌てて理由を続ける。

「あ、でも勘なんですけど！
…恵比寿はいつも安全な場所から、他人を使って手を下していました。
となると、今の場合は見晴らしの良い会合場所のビルかなと…」

会合場所は高層ビル。セキュリティもしっかりしているため、奴は好んでそのビルを使った。

乙「………Aちゃん……」

「はい…」

乙「それだ……くそ、ワゴン無駄にした！」

兄「あーあ、また嵌められた」

弟「まあ、ワゴンだけだし被害は少ないよ」

乙「そうね…さてどうすっかな」

「提案なんですが、今夜乗り込みませんか？」

分かりやすく、3人の顔に疑問符が浮いた。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

兄「ったく、何を言い出したかと思ったわ」

弟「俺は最初からいい案だと思った！」

兄「嘘つけ」

いつまでもあの場にいるわけにはいかず、追手を巻いて本拠地へ戻った一行。
私の案が通り、今夜奇襲することが決まった。

乙「じゃ、念のためおさらいするよ」

「はい」

乙「時間は23時頃…あと2時間後くらいか。バンで移動して公園付近で止まろう。
俺はハッキングメインで外に待機して、兄者は…」

兄「おっつんの手伝いと護衛な。終わったら弟者とAと合流」

弟者「で、俺らがスパイね」

「はい。奴は慎重ですが、うまく出し抜けた今日は少なからず油断してると思います。
直近の部下も何人か殺したし、屋敷の警備は薄いはずです」

おそらく本日行われた有力者との会合で、奴は後ろ盾を得た。
忍び込むなんて粗治療でストレートな戦略だが、向こうの戦力が増えてまた手を出しにくくなるのは避けたかった。

乙「なんとしても成功させなきゃね」

弟「成功するっしょ！俺分かりやすい作戦の方が好きだし」

「私もです。心置きなくぶっ潰せる」

兄「お前結構怖いよな…」

何を今更、と笑う。
失敗は許されないが、不思議と不安より自信の方が勝っていた。