Be My Last (ページ27)

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乙『こちらチームA、配置についた。そっちも大丈夫そう？』

兄「チームB、待機中」

恵比寿の屋敷から数キロ離れた街中。
会合場所へ向かうのに、通るであろう道をマークし、事前待機をしていた。

今のところ、それらしき車が来る気配はない。

「来ませんね」

兄「…ガセネタ掴まされたって可能性も0じゃないよな」

「奴は、割と慎重です。向こうも向こうで、確実に殺そうとしてくるはず…」

乙『3台来やがった！接触するー』

銃撃のような音が聞こえ、無線が途切れる。
兄者さんはすかさずエンジンを入れる。

兄「援護いくか」

「いや…あ、兄者さんあのセダン！」

スピードを出しながら横切った黒いセダン車。見間違いじゃなければ、あれは奴の屋敷にあったものだ。

兄「掴まっとけよ！」

掛け声とともにセダン車を追う。彼の腰をしっかり掴み、前方を伺う。

「チームAの方は完全におとりですね。奴はこっちにいるはず」

兄「ああ、もう少し行けば信号も多くなる。そこで距離を詰めよう」

バイクの良いところは、小回りが利くところだ。渋滞もなんのその、あっという間に車2台分ほどまで近づいた。

「兄者さん！援護してください！」

兄「あ、おい！」

言うが早いか、バイクから前方の車へ飛び移る。信号が変わり、車が動き出すが構わず前へ前へ。
手前まで来たところで後輪タイヤを銃で撃ち、ボンネットへ飛び乗った。

「てめえどきやがれ！」

窓を開け銃をだしてきた部下たち。が、もう遅い。ボンネットの上から刀を突き刺した。
いつも奴が座るのは、後部座席の真ん中。

だが、手応えはない。

「よう、ボスを狙ってきたんだろうがここにはいないぜ」

「どこにいる」

「さあね、俺らにも教えてくんないのさ」

「じゃあ用無しだ」

謀られた…苛立ちが溢れ、トリガーを引く指に一層力が入った。後部座席を覗くも、たしかに奴の姿はない。

兄「A！」

銃を撃ちながら、兄者さんがバイクを横につける。
突き刺した刀を引き抜き素早く飛び移った。
そのタイミングを見計らい、割れた窓の中へ手榴弾を放り投げる。

兄「ハズレか」

「はい…乙一さんの方かも」

兄「さっきから無線が繋がらねえんだよ。一度合流しよう」

「了解」