Be My Last (ページ22)

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私はここよりずっと東の生まれです。
代々家業が用心棒だったので、一人娘の私もいつのまにかそういう技術を学ぶようになりました。

物騒な仕事ですが両親は優しく、「父さんの代で殺しはやめる」が口癖でした。
そんなある日、父が多額の借金とともに帰ってきました。

すでに息をしておらず、失敗したんだと悟りました。
母はショックから動転し、私や父のことを忘れてしまいました。

それから数日、恵比寿が現れました。
彼と会ったのは、それが初めてです。
母と私を見て、

「お前が返せ」

さもなくば母は死ぬ、と私に言い放ちました。

当時、今ほどの経験も力もなく、恐怖からついて行きました。
それからは今と同じです。ターゲットを討っては金を払い、討っては払いの繰り返し。

「そしてみなさんを殺した報酬で、借金はすべて返済となり、解放するという約束でした」

これが話の大筋。
どんな顔をしていいか分からなかった私は、思わず俯いた。

弟「そうか…つらかったでしょう」

「ええ…でも、よくある話です。それに、力がなかったから従ってしまった、それが悔しくて恥ずかしくて…親に顔向けできません」

乙「そんなことないよ、とても立派だ」

強くきっぱりとした口調で彼は続けた。

乙「ごめん、正直君のこと疑ってた。いや…今も少し。でも、君が嘘ついてるようには見えない」

まっすぐと見つめる乙一さんの目を、私も見つめ返す。言葉の通り、私が何者か定められずにその目は迷っているようにみえた。

兄「…矛盾だな」

乙「そーなんだよねー、自分でも何言ってんだかさ」

「私も逆の立場なら疑います…だから思う存分私を調べてください。信じきれるまで。

助けてもらった上にこんなことを言うのはあれですけど、私1人じゃ奴は倒せない気がするんです。

だから、みなさんと組んで奴を倒せるならなんでもします」

奴に一矢報いるのが私の一番の望みだから、と。
また俯こうとした私を、乙一さんの優しい言葉が止める。

乙「うん、じゃあそうさせてもらう」

弟「…実際Aさんが入ってくれればうちも心強いな」

兄「戦闘じゃおっつんよりつえーよ」

乙「ちょっと何よ人を弱いみたいに…」

兄「そうだろ」

乙「Aちゃん、こういうこと言うとうちじゃご飯抜きになるから気をつけてね」

兄「おい！」

あれだけ真剣だった空気が嘘のよう、なんだかここはとっても

弟「Aさん、笑ってる！」

とても暖かくて、心地良い。