48「あの人」 ページ48
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リン「今のAさんなら幻術が使えるよ!」
ナイスアドバイス。
あの時私は万華鏡写輪眼を開眼していたんだ。
「ああ!いつもご苦労様です」
なんかよく居るひとみたいに認識して貰った。
それでも町の人に見られてる気がして気持ちが悪い。ほとんどが自分のうしろめたい気持ちからだろうけど、体の中がそわそわする。
そうだ、あれがあれば……。
懐にしまっておいたいつもの暗部の面。すぐに私だってバレてしまいそうだけどこれがないと、正気じゃいられない。
駆け足で国境まで行き、門番は幻術で潜り抜ける。
ここまでは順調だった。
霧隠れを抜けるにはこの広大な海を渡らなければいけない、すぐに追いつかれれば恰好の的。いくら氷で敵を足止めできても、霧の幻術使いとか予想外の出来事があれば逃げ場がない。
バサバサバサ……
里から鷹が飛び立って行く。
あの方向は…木の葉?
『ごめん』
引力で無理矢理引き寄せ、
巻物の中身を確認する。
内容はまさに、さっき私が犯した大罪だった。
木の葉にもそれなりの処置をとらせる、と。
帰る場所がなくなった。
私はいったい何処へ向かえばいいの……?
ぺたん、としゃがみ込んだ時、
自分が諦めたのだと実感した。
私なんかが生きてていいのだろうか?
今でも鮮明に覚えてる、
怒りに任せて人を殺めた、
あの丸裸の狂気。
私の中にコレがあるなんて思うと、
死んだ方が世のためではないかと思う。
なぜなら、木の葉で善良に生きてきた私が全てだと思いたいから……。
「居たぞ! 殺せ!」
体が動かない。
私にはもう、生きる気力がなかった。
……。
背後に襲いかかるはずの瞬間が一向に訪れない。
叫び声と、体が貫かれ血飛沫の音。
さっきの悪夢と似た匂い。
ザッザッと誰かの足音が近づき、横に立った。
『殺すなら殺せばいいし、助けならいらない』
それが誰なのかもう興味がなかった。
男「善良に生きることがどうして正しいと証明できる? 現に正しいと思ってやってきて、報われなかっただろう」
『それでも私は間違ったの』
男「それはこの世に正しいものなんてないから間違ったんだ。正しい世界は別にある」
『……なに、それ…』
頭おかしいんじゃない? そう思って適当に流す。
目の前に黒い手袋の手が差し出される。
いいから、ほっといて欲しい。
男「どうした、子どもの頃お前から握ってきた事は忘れたのか?」
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石セー(プロフ) - じゅりさん» じゅりさん初めまして!読んで下さってとっても嬉しいです^ ^ありがとうございます!更新頑張りますー! (2019年5月20日 21時) (レス) id: 34e5e194e4 (このIDを非表示/違反報告)
じゅり(プロフ) - 初めまして!更新楽しみにしてます頑張ってください! (2019年5月17日 6時) (レス) id: 9e6c1be654 (このIDを非表示/違反報告)
石セー(プロフ) - 名無し65455号さん» 初めまして、コメントありがとうございます。読んで下さってる方がいるんだなあと実感して感動しています。随時更新して行くのでよろしくお願い致します^ ^ (2019年4月3日 22時) (レス) id: 34e5e194e4 (このIDを非表示/違反報告)
名無し65455号(プロフ) - 初めましてこの作品読んでみて楽しみにしていますこれからも更新頑張って下さい! (2019年4月3日 13時) (レス) id: 1e5a33a9df (このIDを非表示/違反報告)
石セー(プロフ) - 咲空さん» コメントとっても嬉しかったです。ありがとうございます!おかげさまで少し自信を持てました。主人公設定まだまだあるので楽しみにして頂ければ幸いです^^ちょうどプロットを練り直していたので更新が止まってしまいました。近々更新を再開します。 (2019年4月2日 16時) (レス) id: 34e5e194e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤成 | 作成日時:2019年3月10日 16時