月の子２-もうひとりのかぐや姫-【カカシ、オビト夢】

44「カカシの思い」 ページ44

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A……どうしてるだろうか。本人からの音沙汰はない。ただ、こんな噂が流れてきてる。

「血霧の巫女ね……勝手な名前をつけらちゃって…」

今でもAのことは木の葉の忍びだと思ってるから、霧の名をつけられるのは気にくわない。
しかし若干の15歳で忍び界に名を馳せ始めるほど強くなってるのだろう。

「みんなそれぞれ道を歩み出したようだな……」

ナルトは自来也様と里を出て修行に、サクラは綱手様のところに弟子入り。
俺も頑張らないとな……なんて考えてる時だった。
足に紙をくくりつけた鷹が降りてきた。

「手紙？ Aからだ」

内容はこうだ

カカシ先生へ

なかなか近況をお伝えできず申し訳ありません。
いかがお過ごしでしょうか？
ナルトやサクラも元気にやってますか？
こちらは色々とあって、木の葉にいた頃と比べるとやっぱり良い所とは言えません。ですが、なんとかやっています。
こうしてお便りを出したのも、ひとつ良い兆しがあってのことです。
あと少しで母を助けられます。正直、本当に返してくれるのか心配ですが、目的を達成出来たらまた正式にお知らせ致します。

Aより




そうか、随分と頑張ったんだな。
綱手様からも木の葉へ帰れるよう、霧に交渉してもらえると伝えておこう。あと、ナルトやサクラの頑張りも。それから、いつでも帰って来られるよう体制を整えてるから、あまり無茶をしないように、と。

紙に記して鷹の足にくくりつけ、Aの元へ返した。


ずっとあいつの言葉が頭から離れなかった。

『私、カカシ先生のことが好きです』

何故あのタイミングで言ったのか？ Aの中で霧に行くことは決まっていたはずだから、引き止めて欲しかったとは考えにくい。ただ、もっと何かしてやれなかったのかと後悔がいつも付き纏う。

「行かせたくなかったよ……ほんと」

『みんなのことが大好き』健気に笑って泣いた彼女の顔が忘れられない。俺の方からも抱きしめてやりたかった。でもAは決意が揺るがぬよう、俺の答えを拒むように里を出て行った。

時が過ぎ去るにつれて、自分がAのことをどう思ってるのかがはっきりとしてくる。あいつをどうにか幸せにしてやれないだろうか、と。
もしまだAが俺を選ぶなら、今度こそ。

「……て、30手前のおっさんが何考えてんだか」

あいつはまだ子ども。大人になっても変わらないなら、本気にしてもいいだろうか……。

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