36話 俺の物に ページ38
〜伊黒side〜
ようやく見つけたAは、大きな木の下でしゃがみ込み、酷く悲しげな表情をしていた。
雨も凌げる大木であったために、彼女の頬を伝う滴は涙であると言うことは言うまでもなかった。
伊黒「なぜ泣いている？」
俺はAの前に跪き、頬に手を当ていつものように涙を拭ってやる。
するとAは、ぽつりぽつりと話し出す。
地面に打ち付ける大雨。しかし、Aの消え入りそうな声は不思議としっかり俺の耳に届いた。
A「私、最低なんです。いつも自分の幸せばかり考えてしまうんです…」
伊黒「そんなことない。Aはいつも周りのことを考えてるではないか。時に自分を犠牲にしてしまうくらいに…」
そっと微笑みかけ、続けた。
伊黒「この間も甘露寺を守るために大怪我を負いながらも鬼に立ち向かっただろ、俺と初めて出会ったあの日だってお前は多くの隊士を救った。」
A「そんなことないです、今だって私は自分のことばかり。こうやって師範にも迷惑をかけて…」
伊黒「俺はお前の師範だから当然のことだ。何より俺は好きでAの世話を焼いている。」
そう優しく声をかける
A「………きなんです…」
上手く聞き取ることができなかった。
いや、自分が耳にした言葉が信用できなかった。
A「好きなんです！私！師範のこと！」
改めて聞いたその言葉で、
時が止まったように感じた。
さっきまで煩かった雨の音も、
濡れた地面の匂いも、
何も感じない。
まるで、Aを初めて見たあの日と同じようだった。
そう言った彼女は、恥ずかしそうに下を向き、目すら合わせてくれない。雨が滴る美しい髪の隙間から見える耳は真っ赤になっていた。
A「…だから、期待させるようなことはしないでください！師範は甘露寺さんが好きなんでしょ！？」
俺が甘露寺を好き？
予想もしない言葉に驚いたが、それよりもそれほどまでに俺がAの頭の中を埋め尽くしているという事実に喜びを感じた。
怒るようにそう言ったAの姿が愛おしくて堪らない。
この溢れる感情には、なんと名前をつければいいのだろうか。俺は自分自身を制御できなくなった。
Aには幸せになってほしい。
そう思っていたはずなのに、
こんな愛らしいAを俺だけの物にしたい。
そんな気持ちが頭をいっぱいにし、今まで蓋をしていた想いの栓が外れた…
伊黒「A。お前と出会った日の話をしよう。」
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みぃたん(プロフ) - 林檎さん» ありがとうございます！続編はもっともっと楽しんでいただけように、がんばって書きます♪ぜひぜひ覗いてみてくださいね！ (2020年2月4日 0時) (
レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
みぃたん(プロフ) - ドラゴンちゃんさん» 応援ありがとうございます！続編も少しずつではありますが更新していきますのでそちらも読んでいただけると嬉しいです♪ (2020年2月4日 0時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
みぃたん(プロフ) - 夏蜜柑さん» 続編も伊黒さんの魅力たっぷりに書けるようにがんばりますね♪いつもありがとうございます！ (2020年2月4日 0時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
みぃたん(プロフ) - カンナさん» ありがとうございます！伊黒さん素敵ですよね！またよろしければ続編も見てくださると嬉しいです♪ (2020年2月3日 23時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - うわあああ(嬉しさの叫び） 楽しかったです！推しは伊黒さんです！楽しかったです！(大切なことなので二回言いました) (2020年2月1日 22時) (レス) id: 618a98841b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みぃたん | 作成日時：2020年1月13日 11時
