33話 醜い考え ページ35
そして、嫌な想像は易々と確信へと変わったのだ。
なぜなら、師範は今日夜まで任務と言っていた。
なのにどうして、まだお昼過ぎに屋敷に戻ったの?
本当に任務はあったのだろうか…
まさか、嘘?甘露寺さんと会うために?
他にも、いつも涼しげな師範が汗ばんでいたのも、
露出を嫌がる師範が上裸なのもおかしい。
そして、最後。追い討ちをかけたのは、
師範越しに見えた師範の部屋だ。
そこには乱れた布団が見えていた…
伊黒「A?どうした?」
そんな師範の言葉は耳に入ってこない。
A「ご、ごめんなさい!」
私は耐えられなくなってしまって、
大雨の中、傘を持たずに屋敷を出た。
ザーザー
ひどい雨の中、目的地もなく歩いた。
厚い雲のせいか日が落ちた感覚はなかったが、
時計は22時を指そうとしていた。
最近、師範に近付けた気がしていた。
師範の特別になれたんじゃないかと思ってた。
でも、全部私の勘違いだった。
ただの独りよがり。
さらに、師範を思う気持ちが胸を一層締め付けた。
以前から、師範と甘露寺さんのことは胸に引っかかっていた。でも、私はその度見て見ぬ振りをしていたのだ。
私の知らないところで、あんなに関係が進んでいたなんて思いもしなかった。
私もずっと師範の近くにいたのに…
A「…ばかだなぁ」
ずっとずっと好きだったのに。
出会った瞬間から惹かれていたのかもしれない。
伝えるチャンスはいくらでもあった。
なのに、関係が壊れることが怖くて伝えられなかった。だけど、まさかこんな風に片思いが終わってしまうなんて思ってもみなかった。
自分からは行動できない臆病者なのに、
どこかで師範は自分のことを選んでくれるんじゃないかと思っていた傲慢な私に嫌気がさす。
どんな顔をして師範に会えばいいの…
失ってから気付くという言葉はあながち間違ってはいないなと思った。
そう、今、私も自分のものにはならない。そう思うと、さらに押し込めていた思いがとめどなく溢れ出てきたからだ。
せめて、誰のものにもならないでほしかった…
きっと甘露寺さんといた方が師範も幸せなのに師範の幸せよりも、自分の思いばかり優先してしまう。
全て私が"何もしなかった"ことが招いた結果なのに、
こんな嫉妬や自分本位な醜い考えが頭の中をぐるぐる渦巻いていた。
伊黒「A…」
息を切らし、ずぶ濡れの師範を見ても、
私の頭の中は醜いままだった…
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みぃたん(プロフ) - 林檎さん» ありがとうございます!続編はもっともっと楽しんでいただけように、がんばって書きます♪ぜひぜひ覗いてみてくださいね! (2020年2月4日 0時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
みぃたん(プロフ) - ドラゴンちゃんさん» 応援ありがとうございます!続編も少しずつではありますが更新していきますのでそちらも読んでいただけると嬉しいです♪ (2020年2月4日 0時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
みぃたん(プロフ) - 夏蜜柑さん» 続編も伊黒さんの魅力たっぷりに書けるようにがんばりますね♪いつもありがとうございます! (2020年2月4日 0時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
みぃたん(プロフ) - カンナさん» ありがとうございます!伊黒さん素敵ですよね!またよろしければ続編も見てくださると嬉しいです♪ (2020年2月3日 23時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - うわあああ(嬉しさの叫び) 楽しかったです!推しは伊黒さんです!楽しかったです!(大切なことなので二回言いました) (2020年2月1日 22時) (レス) id: 618a98841b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みぃたん | 作成日時:2020年1月13日 11時