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13話 現実 ページ15

早く母と妹を抱きしめたい。
ありがとう、大好きだと伝えたい。

そんな思いが私の中で溢れた。


A「二人ともどこいったのー!もう十分驚いたよ!早く夕食にしよう!出てき…」

 

ガタンっ



私が言葉を言い終わる前に、視界が反転した。
咄嗟の出来事に理解が追いつかない。

私の体の上には黒いなにか。部屋が暗くてよく見えない。でも、生きているようだ、

ハァハァと荒い息遣いが聞こえる。

すると、



ザシュッ



右腕が激しくいたんだ。
生暖かい何かが頬を濡らす。


なに、これ…



痛い


痛い痛い



いたい痛いイタイ!!!!






黒いなにかはそのまま私にのしかかり、
私の体のあちこちに傷をつくる。


そこからはよく覚えていない。


怪我した体を庇いながら、必死になって
黒いなにかを蹴り飛ばし逃げた。

でも、すぐに捕まって、もみ合いになって、


叩いて、

蹴って、





近くにあった何かをつかんで振り回した。
その物の柄はまだ熱が残っている。


A「やめて!こないで!やだ!やだやだ」


混乱している私は目を瞑り、訳もわからず手に握ったその物を振り回し続けた。




ザクッ




手が動かなくなった。
持っていた何かが刺さったようだった。

恐る恐る目をあげると、


母「Aちゃん」


胸に赤い花を咲かす母の姿、


私の振り回した"それ"は、さっきまで母が私のために握っていた。"包丁"だった。


A「い、いやあああ」

どうして、お母さんが、どうしてどうして、



どうして!!!!



すると母の後ろで黒いなにかが動いた。


母「あれは、あなたの妹よ。この世で一人しかいないあなたの可愛い妹。あんな姿になっても、変わらないわ… Aちゃん、ごめんなさい、こんな母さんで、ごめんなさい、ごめんな…」


母は今にも消えそうな声で途切れ途切れ言葉を紡いだ後、そっと目を閉じた。




A「お母さん…」

A「お母さん… 起きてよ、
  嘘でしょ、お母さん、お母さん!!」


何度も母を揺すった。
でも、母はピクリとも動かない。


私は放心状態だった。
何も考えられない。

何も考えたくない。



いやだいやだ。









これは夢だ。









嫌な夢だ!!









でも、




グルルル






何かが喉を鳴らした音が、家中の空気を震わし、
私はハッとした。









あっ、





そうか、






これは夢じゃないんだ、









夢じゃない。









そう。









これは現実なんだ…

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設定タグ:鬼滅の刃 , 伊黒小芭内   
作品ジャンル:アニメ
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みぃたん(プロフ) - 林檎さん» ありがとうございます!続編はもっともっと楽しんでいただけように、がんばって書きます♪ぜひぜひ覗いてみてくださいね! (2020年2月4日 0時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
みぃたん(プロフ) - ドラゴンちゃんさん» 応援ありがとうございます!続編も少しずつではありますが更新していきますのでそちらも読んでいただけると嬉しいです♪ (2020年2月4日 0時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
みぃたん(プロフ) - 夏蜜柑さん» 続編も伊黒さんの魅力たっぷりに書けるようにがんばりますね♪いつもありがとうございます! (2020年2月4日 0時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
みぃたん(プロフ) - カンナさん» ありがとうございます!伊黒さん素敵ですよね!またよろしければ続編も見てくださると嬉しいです♪ (2020年2月3日 23時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - うわあああ(嬉しさの叫び) 楽しかったです!推しは伊黒さんです!楽しかったです!(大切なことなので二回言いました) (2020年2月1日 22時) (レス) id: 618a98841b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みぃたん | 作成日時:2020年1月13日 11時

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