11話 水切り ページ13
Aは幼少期、暴力を振るっていた父親から逃げるように母と妹と3人、貧しくも幸せな暮らしをしていた。
Aは母も妹も大好きだった。
それと同じくらい、母も妹もAのことを愛してくれていた。
Aは幸せだった。
Aが好きなのは母の手料理。
いつも母は我が子を養うために遅くまで仕事をしており、夕食は姉妹が協力して作っていた。
でも、二人の娘の誕生日だけは特別だった。
今日、母は仕事を早々に切り上げ、家に帰ってきた。
そう、今日は私の誕生日だ。
大好きな母が割烹着を着て、夕食の準備をしている。
私はそんな母を後ろから眺めていた。
グツグツグツ
煮立った音が聞こえる同時に、部屋中に夕食の美味しい香りが充満する。
私は自分の誕生日よりも、久しぶりに母の作る食事を家族3人で食べることに心躍らせていた。
母「あっ、A。ごめんなさい。すっかりネギを切らしていたわ、八百屋まで行って買ってきてくれない？」
A「えー、いらないよー、ネギなくてもいいもん」
母「ま、そんなこと言わずにお願いよ、今日の主役様」
妹「ゆっくり選んできてね！！絶対早く帰ってきちゃだめだからね！」
なぜか煽て口調の母と強引に送り出そうとする妹に根負けし、私はネギを買いに八百屋に向かった。
〜30分後〜
私は、河川敷にいた。
ぴちゃ、ぴちゃ、ぴちゃん
川で水切りをする。
昔はこうやって父親とも遊んだっけ。
優しい父親だった。私は父のことも大好きだった。
でも、ある日を境に父は変わってしまった。
母や妹、私に酷いことを言うようになった。
さらに月日が経つと、母が体中によくあざを作るようになった。小さかった私はその意味がわからなかった。
でも、ある日、父に殴られた。
その時に全てを悟った。母がなぜ体中につくっていたのか、夜、一人で泣いていたのか。
私は殴られた腹よりも、心が痛くて泣いた。
その夜、私が父親に殴られたことを知った母は、何かを決心したようだった。母はその日の夜、父が酒に酔い眠った隙を見て、私と妹を連れ出した。
それから数年、今に至る。
私はたまにこうして河川敷で水切りして遊ぶ。
こうして遊んで家に帰ったら、またあの優しい父が家で待っていてくれるんじゃないか、家族４人また幸せに過ごせるような気がしてならなかったからだ。
A「ただいま」
そう、今日もそれは子どもの儚い幻想に過ぎないはずだったのに…
父「…おかえり」
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みぃたん(プロフ) - 林檎さん» ありがとうございます！続編はもっともっと楽しんでいただけように、がんばって書きます♪ぜひぜひ覗いてみてくださいね！ (2020年2月4日 0時) (
レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
みぃたん(プロフ) - ドラゴンちゃんさん» 応援ありがとうございます！続編も少しずつではありますが更新していきますのでそちらも読んでいただけると嬉しいです♪ (2020年2月4日 0時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
みぃたん(プロフ) - 夏蜜柑さん» 続編も伊黒さんの魅力たっぷりに書けるようにがんばりますね♪いつもありがとうございます！ (2020年2月4日 0時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
みぃたん(プロフ) - カンナさん» ありがとうございます！伊黒さん素敵ですよね！またよろしければ続編も見てくださると嬉しいです♪ (2020年2月3日 23時) (レス) id: 0d90eb6cba (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - うわあああ(嬉しさの叫び） 楽しかったです！推しは伊黒さんです！楽しかったです！(大切なことなので二回言いました) (2020年2月1日 22時) (レス) id: 618a98841b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みぃたん | 作成日時：2020年1月13日 11時
