私事ですが、

はじめて ページ10

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「 翔平の奥様初めまして。栗山と申します 」


『 お、奥様？ 』


「 監督それやめてくださいって言ってるじゃないですかw 」







監督との挨拶は無事に終わった。


終始、監督に「奥様、奥様」と言われ気恥ずかしいような気分になったけど、本当に結婚してるんだししっかりしなきゃなって改めて思わせてくれた。




結果的にAさんって呼んでくれるようにはなった。


…やっぱりその方がしっくりきます。







「 これから俺練習行くんだけど、どうする？ 」


『 んー、邪魔にならないようならちょっと見てみたい 』


「 じゃあ、見つかりにくいとこ行こ 」







顔出しはしていないからメディアには取り上げられないだろうけど、「謎の女」とか言われたら流石に困るから念の為。




そして翔平くんに連れられてきたのは、まさかのベンチ。


…………ベンチ？







『 …え、翔平くん正気？ 』


「 何が？ 」


『 ベンチとかめちゃめちゃ目立つよ！？ 』


「 ベンチにはですね、死角があるんですよAさん 」







得意げにそう言うと、中に入って隅っこに移動した。







「 カメラとかは基本あそこからなんだけど、ここ見えないでしょ 」







…………たしかに、見えない。




でも、こんなところに来てしまったらまた違う問題が出てくる。







『 私なんかが入って怒られたりしないの？ 』


「 そんなわけない。俺の奥さんだもん 」







なんか、そうやって言われると照れるんですけど…




翔平くんはこうなる事を予想してたのか、監督やコーチの方には私がいる事を伝えてるらしい。


そこまでしてもらっちゃったら、逆に申し訳ない。







「 翔平さーーん！ 」


「 あ、じゃあ俺行ってくるね 」


『 わかった。わざわざありがとう 』







少し手を振り合った後、翔平くんは小走りでチームメイトの元に向かった。




初めて入るベンチに、どうしても気持ちが昂る。


記念に納めとこう、そう思ってパシャパシャ写真を撮っていた時だった。







「 ここ、部外者立ち入り禁止ですけど 」




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