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「あの長髪男と闘うんだろう?」
夜が明けて、出立の準備をしている時にコハクから問われた。
長髪男……って司のことよね?
「……もしかして、あの大木はその人が?」
「ああ、思いきりしてやられた。だから君達に協力するぞ!私もおめおめ引き下がるわけにはいかないのでな」
なるほど、コハクもコハクで司に立ち向かう理由があるのね。
「そのために科学の国を作んだよ」
「科学?妖術のことか?」
「まあ、そうだけど……完全に認識が古代とか中世のそれね」
コハクには科学の知識が伝わってないのかしら?
「とにかくまずマンパワーが要る」
「なら、私と一緒に来るといい。今からお湯だけ汲んで戻るところだ」
コハクについていった先にあったのは温泉だった。コハクは大きな水瓶を沈めると、それ一杯にお湯を汲む。
「それ、どうするの?」
「これか?運んで帰って温泉の風呂を作る。療養のためにな」
「どう見ても100億%健康優良児じゃねえか。お元気いっぱい雌ライオンがそれ以上療養してどうすんだ」
「雌ライオンじゃない!そもそも私じゃなく姉者だ!!」
「全く実に迷惑千万の足手まといな姉者だ。……最近は特に具合が優れない。私のこの有り余る健康体と代わってあげられるものならな」
そういうコハクの顔は憂いを帯びていた。
「50L弱ってとこか。風呂にはちーと足んなそうだが、クッソ重いそれ持って何往復してんだテメー。毎日毎日」
先導するコハクに背後から問う千空。その表情は実に真剣そのもの。千空は少し人を小馬鹿にする悪い癖があるけど、人の努力は笑わない人だ。
家族の為とはいえこの重労働を日々続けるのは並大抵のことではないだろう。
「ハ!単なる私の日々のトレーニングだ。お陰で私も鍛えられた。迷惑な姉者にも少しは感謝しなくてはな」
首だけ振り返ったコハクの笑顔に曇りは無かった。
負担になっているなど微塵も思っていないのだろう。
まだ彼女のことを殆ど知らないけど、今までのやりとりだけでも、彼女が強く優しい子であることが伝わった。
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御影ゆき(プロフ) - わたぁめ ?さん» コミュ障なので万年語彙力は瀕死ですが、そう言っていただけて嬉しいです。これからも頑張りますね! (2021年3月30日 7時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
わたぁめ ?(プロフ) - 凄い … 語彙力が凄い … 応援してます ! 頑張って下さい ! (2021年3月29日 16時) (レス) id: 3d31fada56 (このIDを非表示/違反報告)
真白(プロフ) - ありがとうございます!SSも読ませてもらいますね! (2020年6月27日 12時) (レス) id: 3ab5c4a85e (このIDを非表示/違反報告)
御影ゆき(プロフ) - 真白さん» TwitterにもSS挙げてるので良かったらご覧下さいませ。アドバイスは出来ないかもしれませんが、真白さんの小説も読ませていただきます♪ (2020年6月27日 12時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
御影ゆき(プロフ) - 真白さん» コメントありがとうございます。電子で漫画読みながら、ちょこちょこ書いてるだけで決して上手くはないですよー。オンラインを知らないのもあってアドバイスはあまり出来ないかと…。 (2020年6月27日 12時) (レス) id: 22b9875599 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御影ゆき | 作成日時:2020年5月23日 20時