【第九十九訓】 ページ9
良かったと言った。
「おたくの人間はどこまでも自分勝手だねぇ。」
あんな顔みて良かったなんて言えなかった。
「沖田くんにも見せてやりたかったよ。
あいつの顔見たら、
良かったなんて口が裂けても言えねえさ。」
静寂に包まれる。
沖田もこれが正論なのは分かっていた。
ぐうの音も出ない。
「どうしろって言うんでィ。」
ぽつりと口をついて出た。
「なんだよ、聞こえねーよ。
男の子だろはっきり喋んなさい。」
「どうしろって言うんでィ!
俺だってこんな事やりたくなんてなかった!
でも…やんなきゃAが…」
急にでけえ声出すなよ、と呆れた表情を浮かべた。
ふざけた口調から急に真面目な口ぶりになった銀時が続ける。
「それがお前ら組織だろ。
そしてそれを断らなかったのがお前だ。」
ひゅっと息を呑む音が聞こえる。
「やりたくなかった?
幸せになってくれれば良いだ?
男が言い訳ばっかりしてんじゃねえよ。」
何も返せなくなった沖田を畳み掛けるように言葉を続ける。
「もう二度と会えないと思わせて、
自分は探し出して会いに行くってお前、
ほぼストーカーじゃねえか。」
「あいつはてめぇのツラなんざ二度と見たくないかも知れねぇ。
もうほっといてやれよ。
それがお前がAに差し伸べてやれる唯一の救いの手だ。」
銀時が口をつぐむと再び静かになる部屋。
沈黙に徹していた沖田が静かに口を開いた。
*
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怜衣(プロフ) - 作者様のペースでまた更新してくださるとありがたいです! (7月29日 17時) (
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作者名:威杜 | 作成日時:2025年2月1日 18時


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