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「 大丈夫だ、師範。アイツはここにはいない。
⋯もしいたとしても俺が守ってやる。
心配することは何もない 」
安心させるように背中を叩く。
すると、滅多に泣かない師範が
俺の肩に顔を埋めて泣き始めた。
師範は喜怒哀楽の“喜”“楽”以外は
なかなかのことがない限り出さない。
ヤツに暴行を受けている時も
何事もなかったかのように笑っていた。
「 師範は1人で抱え込みすぎだ。
何度も言うが、俺がいるだろう。
俺はあなたのたった1人の弟子だ 」
『 ⋯小芭内には迷惑をかけたくないのです 』
「 別にいい。なんの問題もない。
師範からの迷惑なら喜んで受ける 」
我ながら気持ち悪いと思った。
が、それ以上に師範が傷ついているのを見るのは嫌だ。
前世では師範に散々守られてきた。
故に、次は俺の番だ。
「 ⋯師範、俺は師範のことがずっと好きだ。
前世で初めて出会った時から 」
『 小芭内⋯っ 』
「 俺は穢れの血が入っていたから、
前世で想いは伝えなかった。
⋯しかし、もう我慢できない。
目の前で想い人が苦しんでいるのに何もできないなど、
俺が耐えられない 」
20年以上溜め込んできた想いを全て吐き出した。
斜め下から聞こえてくる嗚咽は止まり、
数秒間の静寂が流れた。
『 ⋯⋯小芭内 』
不意に優しい声がして、俺の頬に柔らかい感触が走った。
『 私もあなたのことを1番に想っています 』
それが師範の唇であることに気づいたのは、
師範が微笑んだ瞬間だった。
「 っ、師範⋯!! 」
『 ふふっ、泣き虫ですね 』
「 あなたも人のことは言えないぞ、っ! 」
師範をこれでもかと言うほど強く抱き締める。
彼女は笑いながらも俺の背中に腕を回した。
『 改めて、よろしくお願いしますね? 小芭内 』
「 ⋯あぁ、A 」
『 ! ⋯それはズルい、です⋯ 』
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レイン様(プロフ) - おばみつじゃない新しい設定ですねぇ (2020年8月19日 11時) (レス) id: 6e6e0a8455 (このIDを非表示/違反報告)
nogue - カブトムシおはぎ柱wwwこれからも頑張ってください。 (2020年3月31日 17時) (レス) id: a847137800 (このIDを非表示/違反報告)
澄葉流(プロフ) - ちょー面白いです!!!これからも更新頑張ってください!!! (2020年2月27日 22時) (レス) id: 73c9d55ae5 (このIDを非表示/違反報告)
なー - えっ…面白すぎない?続き、楽しみに待っております (2020年2月20日 21時) (レス) id: 0ed445bc17 (このIDを非表示/違反報告)
猫 - めっちゃ好みです!これからも頑張ってください!応援してます。 (2020年2月19日 21時) (レス) id: f4a774456e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:タピ岡義勇 | 作成日時:2020年2月17日 16時