検索窓
今日:7 hit、昨日:34 hit、合計:613,107 hit

. ページ25

.




「 大丈夫だ、師範。アイツはここにはいない。

⋯もしいたとしても俺が守ってやる。

心配することは何もない 」




安心させるように背中を叩く。


すると、滅多に泣かない師範が

俺の肩に顔を埋めて泣き始めた。


師範は喜怒哀楽の“喜”“楽”以外は

なかなかのことがない限り出さない。


ヤツに暴行を受けている時も

何事もなかったかのように笑っていた。




「 師範は1人で抱え込みすぎだ。

何度も言うが、俺がいるだろう。

俺はあなたのたった1人の弟子だ 」


『 ⋯小芭内には迷惑をかけたくないのです 』


「 別にいい。なんの問題もない。

師範からの迷惑なら喜んで受ける 」




我ながら気持ち悪いと思った。


が、それ以上に師範が傷ついているのを見るのは嫌だ。


前世では師範に散々守られてきた。


故に、次は俺の番だ。




「 ⋯師範、俺は師範のことがずっと好きだ。

前世で初めて出会った時から 」


『 小芭内⋯っ 』


「 俺は穢れの血が入っていたから、

前世で想いは伝えなかった。

⋯しかし、もう我慢できない。

目の前で想い人が苦しんでいるのに何もできないなど、

俺が耐えられない 」




20年以上溜め込んできた想いを全て吐き出した。


斜め下から聞こえてくる嗚咽は止まり、

数秒間の静寂が流れた。




『 ⋯⋯小芭内 』




不意に優しい声がして、俺の頬に柔らかい感触が走った。




『 私もあなたのことを1番に想っています 』




それが師範の唇であることに気づいたのは、

師範が微笑んだ瞬間だった。




「 っ、師範⋯!! 」


『 ふふっ、泣き虫ですね 』


「 あなたも人のことは言えないぞ、っ! 」




師範をこれでもかと言うほど強く抱き締める。


彼女は笑いながらも俺の背中に腕を回した。




『 改めて、よろしくお願いしますね? 小芭内 』


「 ⋯あぁ、A 」


『 ! ⋯それはズルい、です⋯ 』




.

.→←.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (189 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
553人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

レイン様(プロフ) - おばみつじゃない新しい設定ですねぇ (2020年8月19日 11時) (レス) id: 6e6e0a8455 (このIDを非表示/違反報告)
nogue - カブトムシおはぎ柱wwwこれからも頑張ってください。 (2020年3月31日 17時) (レス) id: a847137800 (このIDを非表示/違反報告)
澄葉流(プロフ) - ちょー面白いです!!!これからも更新頑張ってください!!! (2020年2月27日 22時) (レス) id: 73c9d55ae5 (このIDを非表示/違反報告)
なー - えっ…面白すぎない?続き、楽しみに待っております  (2020年2月20日 21時) (レス) id: 0ed445bc17 (このIDを非表示/違反報告)
- めっちゃ好みです!これからも頑張ってください!応援してます。 (2020年2月19日 21時) (レス) id: f4a774456e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:タピ岡義勇 | 作成日時:2020年2月17日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。