三十一話 期待 ページ32
花柱・胡蝶カナエの死は鬼殺隊に大きな悲しみをもたらした。
いつも笑顔で優しく、それでいて気高く強い彼女に対する憧れや好意を抱いている者は少なくなかった。
葬式は身内だけで行われ、彼女の墓には沢山の花とお菓子があった。
何か差し入れをやろうといつメン(俺、実弥、伊黒、宇髄)で蝶屋敷に訪れればアオイが対応してくれた。
「風柱様と蛇柱様と音柱様はそこの奥の部屋へ、太刀川さんは毎月渡している毒と薬の調合が終わったのでしのぶ様がおられる診察室へ寄って行ってください。」
「はいよー」
じゃーねーと、馬鹿トリオと分かれて診察室へと向かう。
木でできた戸を開ければ久方ぶりに見る胡蝶妹がいた。
「こんにちは太刀川さん。調合終わりましたのでどうぞ。」
「いつも悪ぃな、胡蝶妹。」
俺が胡蝶妹と言った瞬間上がっていた口角がピクリと動いた。
カナエさんが着ていた蝶の羽根のような羽織、穏やかな笑顔……
今の胡蝶しのぶはまるで胡蝶カナエのようだった。
「なんでそんな笑ってんだよ。なんか楽しいことでもあったか?」
「ないですよ。」
グッと、拳を握る胡蝶妹。やはり予想通り彼女の地雷を踏んだようだ。
「姉の未練を晴らすため私は引き継ぐんです。姉さんのように…姉さんの好きな笑顔で鬼と仲良く…」
「お前それマジで言ってんのか?」
胡蝶妹は元々鬼を強く憎んでいた。その点カナエさんは鬼と仲良くすべきと笑顔で語っていた。当然それは理解される考えではなかった。
そんな胡蝶しのぶがその考えをあっさり受け入れるわけが無い。
現に彼女の目には確かな怒りと憎悪が見えた。
「………しゃあねぇな。カナエさんには世話になったしその借り返してやるか。」
スクッと立ち上がり胡蝶妹の腕を引っ張り長い廊下を歩く。
「ちょっと太刀川さん!?」
「会わしてやるよカナエさんに。」
「貴方が霊感強いのは認めます。ですけど私はそんなものないですよ。それにいるかわからない姉さんの霊なんて……」
「馬鹿かお前は。俺を誰だと思ってやがる。」
"凄腕霊媒師だぞ?"
そう言えば胡蝶妹の大きな瞳は不安と期待に小さく揺れた
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病葉 - ……………ってか五条悟ぅぅぅぅ (2020年12月26日 9時) (レス) id: 5950959ea4 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 最高に面白かったです!!! (2020年12月6日 19時) (レス) id: 739f2b6295 (このIDを非表示/違反報告)
味噌汁 - cvを中村悠一さんイメージにしてくださってありがとうございますm(_ _)m (2020年9月5日 21時) (レス) id: 66cf0f24ad (このIDを非表示/違反報告)
RE:0096 - ↓空気読まないコメント (2020年8月4日 15時) (レス) id: 6a54b9078c (このIDを非表示/違反報告)
RE:0096 - 弁護士と書いて実.弥と読むw (2020年8月4日 15時) (レス) id: 6a54b9078c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:AOI 3 | 作成日時:2020年3月15日 19時