殺人鬼にココアを【黒】 (ページ13)

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No.13 ページ13

you side

『ほくと......？どこ......？』

目が覚めたら横に北斗がいなかった。綺麗に片付けられた昨日脱ぎ捨てられた筈の下着が私を冷めた目で見ていた。

『ほくと......？』

リビングバスルームトイレクローゼットの中

どこにもいない

私が愛してる人はどこにも居ない。

置き手紙を残すタイプの人ではないことは知ってる。

おもむろに北斗が最後に着てたTシャツを洗濯カゴの中から引っ張り出して抱きしめた。まだはっきりと残っている北斗が使うボディーソープの香り、汗の匂い、最後に食事した時にこぼしたシミ。全部全部思い出すことができてでも自分で語る時勝手に過去形にしてしまってる辺りでもう帰って来ないことを悟る。

長いこと付き合っていたサガってやつだ。
北斗の考えていたことがわかってしまった。

何時間経っただろう

いつの間にか最後に北斗が着てた服は私の香りになってしまった。別にいい。一生北斗に会えなくてもきっとお互いの一生はもうそんなに長くないから。

まだあの作家の新作出てないけどいいの？

楽しみにしてたじゃん。

今年の夏はいつも面倒くさがって行かない花火大会も行こって言ってたじゃん。

あ、もうどっちにしろ心中する予定だったんだ私たち。