ペンは剣よりも強し ページ7
「バーン」
『………へ?』
その女性は抑揚のない声で銃声の音真似をすると、スっと拳銃を下ろした。
そして、未だ車で引かれた雨蛙のような姿勢でいる私に目線を合わせるよう彼女は、しゃがんだ。
「あなたがA?」
とても澄んだ綺麗な声だった。
反射的に"…はい"と答えてしまうくらいに。
え、誰なんですか?それに、何故銃を?
色々聞きたいことはいっぱいあったが、何故だろう……全く声が出てこない。
呼吸をする金魚のように口をパクパクとさせていると、綺麗な女の人は妖艶に笑った。
「DIO様が興味を示しているスタンド使いがいるというものだから、少し試してみたのよ」
彼女の銀色の髪が揺れた。
あぁ、もうゲロマブじゃねぇか。
何だよそのくっそ長くて綺麗な脚は。
きっと、私がさっき声が出なかったのは彼女の色気にやられたからだ。
本当に表情も言葉遣いも態度も、一つ一つ色っぽい。
そしてゲロマブお姉さんは私の鼻先をちょんと、つついて言った。
「噂通り、ボケーッとしてて締りがない子ね」
『え…』
「あなた、本当に強いの?少し走ったくらいで息が切れちゃうし、それでそのまま転ぶだなんてとんだお間抜けさんだわ」
お姉さんからの突然のディスりに固まる。
いや、ディスられるのはそれはそれでいい気もする。
何か、マゾヒストに目覚めそうだ。
「あら、そんな顔しなくてもいいじゃない。それよりAいい加減その泥水から……」
お姉さんは、何かを言いかけて途中口を噤んだ。
そして私から目を逸らすと、真っ直ぐ正面を見つめた。
私はうつ伏せの状態なので、お姉さんの視線の先に何がいるのかは分からないが、きっと"人"らしき何かなのだろう。
カツカツと足音が近づいてくるのが聞こえる。
お姉さんは少し顔を歪めた。
「マライア、お前少しやりすぎだぜ」
「はぁ?」
足音がピタッと止まると、頭の上辺りから男の声が聞こえた。
マライア…と言うのは恐らくこのお姉さんの名前だろう。
男の人はお姉さん、いや…マライアさんと同じように私の目の前に来てしゃがんだ。
そして、私の顔を見ると目を2、3回パチクリと。
「……こりゃぁ、たまげたな。とんだプリティガールじゃあねぇか」
まるで、想像してた奴と違う……とでも言いたいのだろう。
それがいい方なのか悪い方なのかは分からないけれど。
それにしても、まさか二人にストーキングされていたとは思わなかった。
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俺☆ - やばいめっちゃ面白いのにめっちゃ感動してる。何だこれ。 (2023年1月5日 11時) (レス) @page50 id: b2c114123d (このIDを非表示/違反報告)
Earthあーす(プロフ) - あれなんか目がナイアガラの滝になってる (2023年1月4日 18時) (レス) @page43 id: 0fcf2cea39 (このIDを非表示/違反報告)
しらとめ(プロフ) - 面白いのになんとなく泣きそうになってきます (2022年11月28日 17時) (レス) @page35 id: 353a651934 (このIDを非表示/違反報告)
地獄の番人 - DIOの代わりに空条承太郎パイセンとくっついちゃいましょう!!面白かったです。続きを楽しみに待ってます!! (2022年11月28日 1時) (レス) @page33 id: d126292683 (このIDを非表示/違反報告)
ペトリ皿(プロフ) - やばい。展開も何もかもが面白すぎる。 (2022年11月27日 18時) (レス) @page32 id: cbc38767b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:光と慈雨 | 作者ホームページ:http:// http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/
作成日時:2022年9月5日 23時