シガレット ページ34
タバコは"百害あって一利なし"と言われているが、実際私もそう思う。
がんとか脳血管疾患とかetc……になる確率が上がると分かっていながらも、自らそこへ向かう者の勇敢さは計り知れない。
でも、自分で吸おうとは思わないしタバコは好きじゃないけれど私は基本的に人が吸っててもどうこう言わないよ?
それは個人の自由だし、法の範囲内だから。
けどさ……!!
『承太郎さん、あの…年齢を伺っても?』
「17だ」
『おいおいおい、おかしいだろ!!君が咥えているのはココアシガレットなのか?!』
未成年者の喫煙をどういう気持ちで見ればいいと?
それも極めてヘビースモーカーの高校生を!
承太郎さんが不良なのはもう見た目で重々承知だけどさ、流石に愛煙家すぎねぇ?
一本や二本なら……まぁ分からなくもない。
空条承太郎はさっきから何本吸ったよ?
1ダースとかだよね?マジで見てるこっちが焦るって。
「ごちゃごちゃうるせェ」
『………』
はい、すみませんでした。
もはや何も言い返す事が出来ずに、私は黙って受動喫煙しといた。
現在、私と承太郎さんはカイロでSPW財団の車が来るのを待っている。
SPW財団というのは経済において世界規模の影響力を有する巨大な組織だとの事。
私は一刻も早く家に帰りたいが、そのSPWとかいうエリートさんが私に渡したいものがあるらしい。
仕方なく承太郎さんと一緒に瓦礫の上で談笑……というかほぼ喋ってないけど。
『えっとぉ…つかぬ事をお聞きしますが、DIOって私について何か言ってましたか?』
「あぁ、聞いてもねぇのにペラペラとな」
『え!ちょっとそれ詳しく……』
「もう忘れたぜ」
『えぇ……』
何なんだこの人。
忘れたというか、言いたくないだけだろ。
空条承太郎はDIO以上に何を考えているのか分からない。
ガラリと隣の瓦礫が音を立てた。
承太郎さんは立ち上がると、私の目の前に来て少し屈んだ。
綺麗な顔だなぁ…。
なんてやけに近い承太郎さんの顔を見ながらぼんやりと思う。
「……おめー、悪趣味だな」
『何がです……う"っ!ゲホッ、いきなり何ですか!?』
突然、タバコの煙を顔に向かって吐かれた。
煙いっちゃありゃしない。
どんな嫌がらせだよ。と承太郎さんを見上げると何故か少しだけ口角が上がっていた。
「じゃあな」
承太郎さんそれだけ言うと、ちょうどその時来たSPW財団の車へ乗り込んで私の視界から消えた。
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俺☆ - やばいめっちゃ面白いのにめっちゃ感動してる。何だこれ。 (2023年1月5日 11時) (レス) @page50 id: b2c114123d (このIDを非表示/違反報告)
Earthあーす(プロフ) - あれなんか目がナイアガラの滝になってる (2023年1月4日 18時) (レス) @page43 id: 0fcf2cea39 (このIDを非表示/違反報告)
しらとめ(プロフ) - 面白いのになんとなく泣きそうになってきます (2022年11月28日 17時) (レス) @page35 id: 353a651934 (このIDを非表示/違反報告)
地獄の番人 - DIOの代わりに空条承太郎パイセンとくっついちゃいましょう!!面白かったです。続きを楽しみに待ってます!! (2022年11月28日 1時) (レス) @page33 id: d126292683 (このIDを非表示/違反報告)
ペトリ皿(プロフ) - やばい。展開も何もかもが面白すぎる。 (2022年11月27日 18時) (レス) @page32 id: cbc38767b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:光と慈雨 | 作者ホームページ:http:// http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/
作成日時:2022年9月5日 23時