吸血鬼とモブJK【ジョジョの奇妙な冒険】

世界！！ ページ6

『……え？』


「……え？」


てんてんてんまる。


"でぃお"があんな馬鹿でかい声で必殺技を唱えたのに、特に私に何か起きるわけでもなかった。


もしかして時間差でくる攻撃なのかな？


よく分からないけど、私に攻撃を仕掛けた"でぃお"本人までもが唖然として口をポカンとあけている。


いや、どういう状況？



『えっと、私に何かしました？』


「…さ、さっきのは何かの間違いだ」


『あぁ、なるほど』


何かの手違いで攻撃が私にかからなかったらしい。


ラッキーな事もあるのだな。


呑気にそんなことを思っていると、仕切り直すように"でぃお"は大きく咳払いをした。



「フン、次こそは確実に貴様を仕留める」


『え、敵意ないんだからそろそろ許して？』


「今更許しを乞うても遅い！」



"ザ・ワールド！！"


先程と同じように"でぃお"は唱えた。


母音の発音がすごく簡潔で力強い声だった。



あまりの彼の迫力に一瞬時が止まったかのように思えた。


『……』


が、その勢いとは反してまたしても私の体や周りに何か起こるようなことは無かった。



『いや、バカでかい声で必殺技唱えただけのただの近所迷惑な奴じゃねぇか！！』



ここまで来ると流石にこっちが恥ずかしくなってきたよ？


この茶番いつまで続くんだよ、おい。



手足もしっかり動くし、体で痛いところやおかしいところは特にない。


一体、何なんだろうか。


もしかしたら彼は、本当は何も能力を持っていなくて私をビビらせる為に演技をしているんじゃないか。



私の顔を見て、まるで化け物でも見るかのような表情をしている"彼を"見てそんな事を思う。



「バカな…ッ！俺のスタンドが効かないだと？！」



けれど彼はこうもやたら焦っているので、スタンド能力とやらを持っているのは本当らしい。


そうしたら私がおかしいのか。


異世界トリップあるある特典…


スタンド能力が効かないとか？


もし本当にそうだとしたら、結構いい特典じゃね？



「な、何をニヤニヤと笑っている…ッ！まさか、これが貴様のスタンドか？」



『まぁそういう事になるんじゃないすかね？』


「なッ…！？」


『めっちゃ驚くじゃん』



その時だ、建物の隙間から薄い光が差し込んで朝日が顔を出そうとしていた。



「クソッ、もうこんな時間か……！」


『え、帰るんですか？』


「フン、今回のところは見逃してやる」



覚えておけよ小娘。と"でぃお"は言って、慌てた様子で帰って行った。

災難→←短気すぎん？

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