渇望 ページ48
その後もDIOはAを館中に連れ回した。
図書室にミュージックホール、2階に上がって礼拝室や衣装室など館の中を隅々まで巡遊する。
何故DIOがAに館案内をするのかは謎だが、本人が楽しいのならばそれでいいだろう。
Aも普段見ない物や、規格外の大きさの部屋などに子供のように目をキラキラさせ顔を綻ばせていた。
いつもの気だるそうにDIOの相手をするAとは別人のようである。
そして現在、2人は2階の植物園にいる。
『いやぁ、ここは素晴らしい館だよDIOくん!』
「それならずっと居ればよかろう。このDIOが貴様がを雑用係として雇ってやろうじゃあないか…!」
『ねぇ見てあの草…今、虫を取り込んだよ』
「A…貴様、人の話を聞け」
都合の悪いことは聞かなかった事にするタチなのか、AはDIOの誘いを悉く無視して食虫植物に目を逸らした。
ハエトリグサという食虫植物は、4枚から10数枚の葉をロゼット状につけ、細長い軍配形の葉柄の先に捕虫葉と呼ばれる二枚貝のような形の葉を持っている。
獲物が感覚毛というセンサーに短時間で2回以上触れると、二枚貝状の葉が素早く閉じ、ハエなどの獲物を捕まえるという仕組みだ。
『凄いね、何か生命力を感じるよ』
「フン、食虫植物と言っても結局ただの草だ」
DIOは不機嫌に眉をひそめて、不快の色を見せた。
そして話に抑揚感を出すように、右手の人差し指をピシッと立てると言った。
「一枚の葉が虫を捕えられる回数は4、5回で…どうせあの草も直ぐにエネルギーを消費して枯れてしまう。人間も同じだ。人間も命に限りがあり、老いるし死ぬ」
"貴様もそうだ…A"
DIOはまるで、寿命がある生物がおかしいとでも言っているようだった。
直接言葉にはしないが、遠回しにAに何か新しい提案……いや、要求をしている。
それが彼女にも薄らと伝わったようで
『あ、吸血鬼にはならないよ?』
スっとDIOから離れて5、6mの距離を取った。
「……待てA、まだ何も言ってないだろう」
『いやいや、口に出してなくても顔に出てたよ"お前も吸血鬼にならないかっ…?"てね!!』
某鬼退治漫画に出てくる有名セリフを堂々と使うA。
若干冷や汗をかきながら、DIOを見据えた。
「ほぉ〜、やはり貴様恐ろしく勘が鋭いようだな。まぁ、良い…隙を見て吸血鬼にでもしてやろう」
『日向ぼっこや、ピクニックが出来なくなるのは嫌なのでやめてください』
208人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ジョジョの奇妙な冒険」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わるび - 読み始めました。ふたりも見守るキャラクター達も凄く可愛らしくて、家族が居るのに笑ってしまいました( *´艸`)素敵な作品を作ってくださり、ありがとうございます!ほのぼのと癒されました。 (2022年9月23日 20時) (レス) @page50 id: 08dad0f4f2 (このIDを非表示/違反報告)
処刑人 - 夢主さん・・・・頑張れ骨があったら拾っときます。 (2022年8月24日 14時) (レス) @page41 id: 37fa50b5c3 (このIDを非表示/違反報告)
夢主さんファンクラブ2番!!地獄の番人 - ツルツルピッカーん!!労宮を押すと確かに痛い (2022年8月22日 5時) (レス) @page37 id: 37fa50b5c3 (このIDを非表示/違反報告)
ラウル(プロフ) - 夢主さんファンクラブ2番!!地獄の番人さん» 色々と嬉しくて禿げます(?) (2022年8月21日 15時) (レス) @page36 id: cb2141a780 (このIDを非表示/違反報告)
夢主さんファンクラブ2番!!地獄の番人 - ラウルさん作品とか関係ない、やりたきゃやればいいのです✨返信ミスではありませんよウフフ♥ (2022年8月21日 8時) (レス) id: 37fa50b5c3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:光と慈雨 | 作者ホームページ:http:// http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/
作成日時:2022年8月5日 18時