おばあちゃんっ子 ページ44
『すっご、広すぎ!』
Aは館に入ると、簡潔にそして分かりやすく感想を述べた。
これはお世辞でも何でもなく、単なる事実。
幾つと続いている部屋だの、遠くまで真っ直ぐに見える廊下だの、もうここは宮殿です。と言われても何ら違和感がなかった。
生活感など全く見えず、ピカピカの大理石の床とうっすら香る石鹸の匂いがそれを象徴している。
「立ち話もなんですので、どうぞお掛けください」
『ど、どうも』
テレンスのいかにも執事らしいエスコートにAは慣れず、困惑した。
普段のように適当に扱ってくれればいいものの、"客"
という立場になった途端これだ。
客間の入口から遠い上座に案内され、Aはその背もたれのついた高級感のある椅子にゆっくりと、浅く座った。
「ところで今日は何をしに来たんです?」
そんな大きな荷物を抱えて…とテレンスはAが持ってきた"それ"を見ながら聞いた。
勿論AはテレンスのテレビとDIOのヘアバンドをそのまま持ってきた訳でなく、大きなエスニックの風呂敷に包んできたのだ。
だからテレンスにはそれが何なのか、まだ分かっていない。
『あぁ、そうそう!これは…』
思い出したかのように風呂敷を手に取って、その結び目を解こうとした時…突然ガチャりと客間の扉が開いた。
Aの視線はその音の方へ行き、動きは一時中断される。
「どうも、こんにちは…。お茶をお煎れしました」
中に入ってきたのは、マグカップが乗っているトレンチを持ったエンヤ婆であった。
1度しか会っていないとはいえ、この特徴的な老婆をAは忘れなかった。
『え…!?』
Aは目を丸くさせると、椅子から立ち上がりエンヤ婆に近づいた。
『あの時のおばあちゃん!』
"…ですよね?"
と、最後に若干の自信のなさを見せながらエンヤ婆を見つめた。
「そうですじゃ、あの時はお世話になりました。あの金色のコップはDIO様が大変気に入られて……」
『いやぁ〜、こんな偶然あるんだね!』
是非とも最後までエンヤ婆の台詞を聞いてほしいものだが、Aは気にせず独り言を続けた。
『おばあちゃんも、もしかしてDIOの部下なの?てか、わざわざお茶持ってきてくれたんでしょ』
少し、作ったかのような申し訳ない顔をするとエンヤ婆を空いている席に誘導させて無理やり座らせた。
Aの距離感の近さ…いや、遠慮の無さにエンヤ婆は絶賛困惑中。
『え、このお茶美味い』
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わるび - 読み始めました。ふたりも見守るキャラクター達も凄く可愛らしくて、家族が居るのに笑ってしまいました( *´艸`)素敵な作品を作ってくださり、ありがとうございます!ほのぼのと癒されました。 (2022年9月23日 20時) (レス) @page50 id: 08dad0f4f2 (このIDを非表示/違反報告)
処刑人 - 夢主さん・・・・頑張れ骨があったら拾っときます。 (2022年8月24日 14時) (レス) @page41 id: 37fa50b5c3 (このIDを非表示/違反報告)
夢主さんファンクラブ2番!!地獄の番人 - ツルツルピッカーん!!労宮を押すと確かに痛い (2022年8月22日 5時) (レス) @page37 id: 37fa50b5c3 (このIDを非表示/違反報告)
ラウル(プロフ) - 夢主さんファンクラブ2番!!地獄の番人さん» 色々と嬉しくて禿げます(?) (2022年8月21日 15時) (レス) @page36 id: cb2141a780 (このIDを非表示/違反報告)
夢主さんファンクラブ2番!!地獄の番人 - ラウルさん作品とか関係ない、やりたきゃやればいいのです✨返信ミスではありませんよウフフ♥ (2022年8月21日 8時) (レス) id: 37fa50b5c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:光と慈雨 | 作者ホームページ:http:// http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/
作成日時:2022年8月5日 18時