吸血鬼とモブJK【ジョジョの奇妙な冒険】

運ゲー ページ26

｢どうしました？随分、顔色が悪いですよ｣


『こんな状況で顔色が良い奴なんていないと思う』



まずいぞ、これは大分まずいぞ……！

現在の得点は０対６。


勿論、０の方は私なんだけど。


テレンスのやつ…めちゃくちゃゲームが上手いのだ。


いや、私が下手すぎるのか？


もしかしたら、どっちもかもしれない。


このままだと私は、永遠にアイツに仕えることになってしまうぞ！？


それだけは絶対に嫌だ。


これは負けられない戦いなのだ！



｢フフフ……このまま11点差がついてしまいますよ？｣


もう勝利が決まったかのように、せせら笑う。


ゲームには誰にも負けないというこの自信、テレンスの奴相当やり込んでいるな。


だがしかーし……！




『私は自分の運を信じてるから』


神がいるのだとしたら、きっと私に味方してくれる。


スタンドが守護霊だというのなら、私はその勝利の女神をスタンドとしてつけよう。



これは妄想とか自分自身への慰めとかではない。


これから起こる予言だ。



｢運…？貴方、何を言っているんですか。これは運ゲーじゃあないんですよ｣



『それはどうでしょう！』


そう言って微笑を口角に浮かばせると、テレンスはあからさまに動揺した。


きっと今の私の言動が理解できなかったのだろう。


そして疑い深い彼の性格じゃ今頃、脳内の中は新しい疑問でいっぱいのはずだ。



｢……時間稼ぎのつもりなら無駄な抵抗ですよ｣


『……』


テレンスは何ともスッキリしない表情だった。



｢まぁいい、ゲームを続けましょう｣



そして、その消化不良のまま彼はボールを投げた。



外角低めのストレート……この言葉がふと頭に浮かぶ。


そして自然と自分の指が動いた。


まるで誰かにこのコントローラーを操作されているかのように、不自然に私の指が動いた。


そのまま、バットは丁度良い位置でボールを捕らえると……



"カキィィンン"


｢なっ！？｣



ボールはとても爽快な音を鳴らして、優雅な放物線を描き外野のフェンスを超えた。




『あっははは！見たかテレンス、ホームランだ！！』



ゲーム内で花火が上がり、ホームランという文字がどデカく映し出される。



｢A、貴様何をした…イカサマでもしているのか！？｣



『いやいや、何もしてないよ』



｢今の動き、まるで私の投げる球が何処に来るか分かっていたように見えたッ！｣



『だから、さっき言ったじゃん！私は自分の運を信じるって』

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