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不鮮明な記憶を掘り起こす ページ6

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祥彰が、QuizKnockの伊沢さんに私の話を持ちかけたところ彼から興味を持たれ一緒に会って話したいと言われ、私は祥彰と共に待ち合わせのカフェで緊張しながら待っていた。



「やぁ、お待たせ!」

「こんにちは!お時間頂きありがとうございます!」

「わざわざ立たなくても良いよ、座って座って」



初めて会う男の人は未だに少し緊張して、体が震えてしまう。ほんの少しだけ、だけど。

伊沢さんはやってきた店員さんに、コーヒーをひとつ頼むと受け取ったおしぼりで手を拭き私たちを見つめた。



「まずは、うちに興味を持って話をさせて貰える機会を頂けて感謝しています。私は、QuizKnockの編集長をしてます伊沢拓司と申します」

「あ、山本祥彰です」



伊沢さんと祥彰が握手を交わしているのを見て、次私に来るよね…なんて思うと、微かに震えが起こってしまった。



「あ、あの…」

「君が、花岡Aさんだね?山本くんから、君の事情は少し聞いているんだ」

「え……?」



驚いて祥彰の方を見ると、ごめん!と手を合わせ謝ってくる。別に怒ってるわけじゃないけど、そこまで話をしたのに伊沢さんは私に会ってくれるんだ…と驚きの方が強かった。



「山本くんの心配する通り、うちは今現状は男女比は断然男の方に傾いていてね、つい先日漸く女性が一人入ったところなんだ」

「そう、なんですね……」

「こうして会えたのも何かの縁だと思って、うちとしては花岡さんの持て余した知識を存分にうちで使い暴れて欲しいと思ってるんだけど…どうかな?」



あ、暴れる…つもりはサラサラないのだけど、今まで悶々とした気持ちを晴らせる場所があるとすれば、それが職場ともなれば有難い限りだ。あとは、私がどうするか…かな。



「あの…、こんな私にお話頂けてとても嬉しく思います。…隣の山本からも話を聞いてるかと思うのですが、私の口から今一度お話させていただいてもよろしいでしょうか?」



ここでお世話になる以上、話しておかなければいけない過去がある。覚えている限りの当時の記憶を掘り起こした。……と言っても、その当時の記憶がほぼ無く思い出しているのは過去に母親から聞いた話を元に伊沢さんにそのまま、話しているだけだった。



「本来ならこんなに軽く話せるものでもないと思うのですが、私にはその当時の記憶が無いんです。……あるのは、男性への恐怖心のみで」



当初はもっと酷い恐怖症だったが、何とかここまで回復したのだった。




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設定タグ:QuizKnock , クイズノック , 福良拳   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:りんご | 作者ホームページ:   
作成日時:2020年7月29日 19時

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