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ymmt
本日は休日のため僕もAも朝から家でのんびり過ごしていた。ゆっくり起きてゆっくり朝ごはんを食べ、ゆっくりゆっくり行動していた。何せ今の時期梅雨なのだ。外に出掛ける機会がめっぽう減ってしまっていた。「祥彰ー」「なに？A」「どうしてさ、6月に結婚すると幸せになれるの？」彼女はダイニングテーブルで頬杖をつきながら窓の外の景色をぼんやり見つめ、そう言った。今朝から降りしきる雨で窓の外は水浸し。「日本はこんなに天気に恵まれてない季節なのにさぁ」「もともとヨーロッパの言い伝えだから日本とは気候が違うんだよ」「私だったらもっと違う日が良いなぁ」そう、ポツリと呟いた彼女の言葉を僕は聞き逃さなかった。「じゃあ、Aはいつ結婚したいの？」「そうだなぁ、やっぱりクリスマスかなぁ」そっか、クリスマスか。まだ半年もあるじゃないか。ジューンブライドに倣って折角用意した指輪も半年後まで出番なしのようだ。「そっか、じゃあ半年後までお預けね」「え、待って、今なんて…」「あーあ、折角用意したのになー」わざとらしく僕は懐から小さな黒い箱を取り出してそう大きく呟いてみせると彼女の驚いた顔。そんな顔が面白くてつい言っちゃった。「ねぇ、僕と結婚してくれる？」
kochan
どうしようどうしようどうしよう。わたし渡辺航平。人生最大のピンチです。長年付き合ってきた彼女のAにプロポーズするために、ちょっと高めのレストランを予約して今、彼女と食事を楽しんでいる最中なのだが……肝心の婚約指輪を忘れてきてしまったようだ。「航平、どうしたの？さっきからソワソワして」「いやー、さっきの肉料理美味しかったからさ早く次の料理出ないかなーって」…マズい。Aに俺の動揺が伝わってしまっている。「ね、本当に大丈夫？具合でも悪いの？」彼女に余計な心配までさせて…本当にカッコ悪…「あー、うん。大丈夫…」「指輪でも忘れたの？」「はっ？！」Aの口から発せられた言葉に大変驚くも、肝心のAは顔色一つ変えずに寧ろクスリと笑っているよう。「どーせ、プロポーズしようとしてこんな高い店予約したんでしょ？」「う…ハイ」「んで、プロポーズはしてくれるの？航平」ああ、彼女には何も敵わない。最初から全てお見通しのようだ。高い店を予約した理由も、俺の動揺する理由も。「指輪は後でもいいから言葉だけでも、ね？」「…分かったよ。」カッコ悪いけど、形だけでも「僕と、結婚してくれませんか」
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作者名：りんご | 作者ホームページ：
作成日時：2020年5月29日 14時
