とろけるくらいの恋愛を / fkr ページ14
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「ただいまー」
仕事を終わらせて、彼女と一緒に住んでいる家に帰宅する。いつもはおかえりーとリビングから声が掛かるのだが今日は何も返ってこない。明かりはついているから家に居るはずなのだが。
「Aー?どしたの?」
「…………」
話し掛けても返事がない。ソファの上で体操座りして、何故か眉間に皺を寄せて見ているのは、この前出したばかりの動画で結構再生数が上がった動画だった。
「ねぇ、どうしたの?無視しないでよー」
「……って……」
「ん?何?」
あまりに放ったらかしにされるので、横から抱きついてみると、大人しく抱かれながら何かボソボソと喋っている。
「だって…動画の拳くん…カッコイイんだもん…」
「へ?」
あまりにも予想の斜め上の返答に思わず変な声が出てしまう。俺がかっこいいかどうかはともかく、何が彼女をそんなに不機嫌にさせているのか、サッパリで…
「それでどうしてAの機嫌がそんなにもナナメなの?」
「拳くん、コメント欄読んでるんでしょ…!拳くんかっこいい可愛いってコメントばっかなんだよ…!拳くんは…私の彼氏なのに…」
びっくりした。多分Aは視聴者さんに妬いているのだろう。確かにその動画での俺の活躍は自分で言うのもなんだが目覚ましく、コメント欄も俺に関することばかり。中には先程Aも言った通りかっこいい、可愛いなんてコメントで溢れ返っていた。
「QuizKnockでさ、活躍してくれるのは嬉しいけどさ…拳くん、モテすぎて不安なんだもん…」
あまりに破壊力のありすぎるAの言葉に声が出なくなるほど、心の中ではガッツポーズして喜んでしまっていた。幸せ者すぎる、俺。
あまりに喜んでることを体現してしまうとそれはそれでAに怒られちゃうかなぁと思っていたが、どうやら身体は勝手に動いていてAを後ろからぎゅうっと強く抱き締め、首元にキスの雨を。
「ちょ、拳くん?!」
「もー、Aが可愛すぎるのがいけないんだよ」
「なっ、なんでっ…それに私、可愛くないっ」
「俺が可愛いって言ったら、可愛いの」
「うぅ…」
Aにも自信を持ってもらいたい。俺がこんなにも君の事を思ってるってこと。
「俺は、Aが一番好きだし、これからも一番好きなのはAだよ。」
「〜っ、私だって!拳くんが一番好きだもんっ!」
Aがくるっと後ろに振り向いて、俺に負けじと抱き着いてきた。本当に、行動一つ一つが可愛すぎて心臓もつかな、俺。
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作者名:りんご | 作者ホームページ:
作成日時:2020年5月29日 14時