検索窓
今日:36 hit、昨日:0 hit、合計:72,241 hit

風に恋を乗せて / izw ページ12

.


ご飯も食べたし、お風呂も済ませた。明日の準備もOK。あとは寝るだけ、でもその前に。

スマホが示す時刻は、夜の9時。
高校生にしてみればまだ寝るには早い時間かもしれないが、私はまだ寝ない。
なぜなら、彼──伊沢拓司からの連絡を待っているのだ。

今日は早めに塾終わるって言ってたから、いつもより早く連絡が来るかな?
そう思いながらベットに横になりスマホを見てるとちょうどブブブとスマホが震え、画面には拓司 という文字が。
私は急いで電話を取った。


『あ、A?俺だけど』

「お疲れさま。なんか、俺だけどって言うとオレオレ詐欺の電話みたい」

『いや、声で分かるだろ!?』

「ジョーダンだよー」

『Aもお疲れさま。もういろいろ済ませたの?』

「うん、あとは拓司と電話して、そのあとに寝るだけにしてあるよ。」

『いつもえらいなー。用意周到で』

「だって、寝ちゃうんだもん。」


たわいもない通話だけど、それでも私たちの通話を弾ませてくれる。なかなか会えなく話す機会がない分、家でゆっくり二人だけで電話をしている。


『いつもAと電話してると、学校で嫌なことあっても忘れられるよ。』

「なにか嫌なことでもあったの?」


話をしていて、そこまで落ち込んでいるような素振りはなかったが、いつも明るい彼なだけに、少し弱音を吐いている姿を見ると不安になってしまう。


『今日の小テスト、1つ凡ミスしちまってさ…』

「あれま。珍しいね」

『明日は高校生クイズ決勝戦だっていうのに、こんな調子じゃあ負けちまう…』


通話口の向こう側の拓司は少し悔しそうに言葉をつむぎ出しているようだった。そんな彼に私ができることは無いか


『そんなことより、Aは?何か嫌なこととかなかった?』

「嫌なことの話より楽しい話しようよー」

『それもそうだな、ごめんごめん。で、何かいいことあったの?』


話題がどんどん暗くなりそうだったのでせめて明るい話をしよう。と話題を摩り替えてみた。

んー…と今日の出来事を思い返してみた。
私も小テストはあったけど、特別良くも悪くもない出来だったような気がするし、お弁当の中身はいつもと変わらないし(特別な日はお母さんが、私の好きなものを入れてくれるから嬉しかったりするけど)


「特になにもない、普通の1日だったよ。」

『まぁ、普通が一番だよ。』

「拓司は何か良いことあった?」

『んー、俺はそうだなぁ…』

*→←レンズ一枚隔てた世界 / kwmr



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (73 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
245人がお気に入り
設定タグ:QuizKnock , クイズノック , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:りんご | 作者ホームページ:   
作成日時:2020年5月29日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。