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レンズ一枚隔てた世界 / kwmr ページ11

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「河村さんって目が悪いんですか?」

「はい?」


眼鏡をかけている理由なんて、大多数が視力の悪化によるものだろう。残りの僅かにお洒落のためとか、


「じゃあ、メガネ外したら今私何本指立ててるか分からないんですか?」


恐らく、眼鏡をかけている人あるある。『今私は何本指を立てているでしょうクイズ』
残念ながら雰囲気で何となくは分かるがここは敢えて見えないことにしてみよう。


「この距離だと2なのか3なのか、微妙」

「へぇ〜やっぱり見えないんだ」


Aと俺の間はデスクをひとつ挟んだ隣。およそ2メートルぐらいだろうか。いつも微妙に遠いなと思っていたけど、数字にしてみると案外近く感じる。


「てか、河村さんが眼鏡外したとこ初めて見たかも!」

「まぁ、俺の場合普段からずっと掛けっぱなしだからね。」

「なんか、いつもとお顔の感じが違うから新鮮!知らない人みたい!」


確かに自分でもメガネなしの顔には多少違和感を持っていたりする。眼鏡かけてない時の自分の顔なんて、良く見えてないから印象にも残りづらいのだろうな。


「Aは?裸眼なの?」

「ううん。私、実はコンタクトなの」

「目、悪いんじゃん」

「実はね」


河村さんはコンタクトにしないの?って聞かれて、うーん。しない。と即答してやる。だって面倒くさそうじゃん。コンタクトって。


「なんか、どれくらいなら見えるのか試してみたくなっちゃった」


ここは見えますかー?これはー?と段々近づいてくるA。…良いこと思いついた。


「え、まだ見えませんか?」

「全然見えませーん」


2メートルだったAとの距離も1メートル…50センチまで近付いてきた。


「…流石に見えますよね?」

「え、まだまだぼやぼやですけど」

「えー?」


君に手が届くまで、あと少し…


「わっ」

「多分、ここくらいまで来てくれないとAの顔よく見えないよ」

「ちょ、河村さんっ…」


最後は一気に手をひいて、鼻が触れ合いそうになるまで近づけば視界いっぱいにAの顔が広がる。みるみる顔を赤くするA。ああ、可愛いなぁ。


「A、顔赤くない?」

「河村さんが、急に近くに来るから」

「俺は全然良いんだけどなぁ。可愛いAが見られるし」

「〜〜もうっ!」


怒ってそっぽを向いて離れていってしまったけど、遠くからでも顔が赤らんでるのがよく分かる。…本当は見えてたんだけど、これは秘密ね。

風に恋を乗せて / izw→←*



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設定タグ:QuizKnock , クイズノック , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:りんご | 作者ホームページ:   
作成日時:2020年5月29日 14時

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