お互いの唇 / izw ページ2
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(高校生設定) 伊沢side
「まーたーおーまーえーはー！！」
「ひゃー！ごめんなさいー！」
「謝るぐらいなら最初っから勉強しやがれ！」
「だって分かんないんだもん」
俺の幼馴染で彼女のAは俺の幼馴染と公言しないで欲しいくらいに頭が悪い。そして特に悪いのが数学。なんであんな計算ぐらいできないのか…そう問いかけると、「拓司は天才だからだよ！」なんて。
天才じゃなくても、この位の計算は中学生でもできるぞ。
「…A、前回のテストもヤバくなかった？」
「う……」
「次赤点取ったら留年なんじゃないの？」
「……今日、担任に言われた…」
本っ当にこいつは…
思わず溜め息をつくと、隣のAは何故か泣きそうになっている。
「うぅー…、次頑張るから、嫌いにならないで…っ」
なんて涙いっぱい溜めて言うAはアホだろうか。俺がAを手放すなんて考えられないのに。
「嫌いになんかなるかよ。俺の気持ちなめんな」
「ぐすっ…、うん…」
乱暴にもAの頭をわしゃわしゃと撫でると少しAの口角が上がった。
ほらな。嫌いになんかなれねーよ、絶対。俺、お前の笑顔が好きなんだから。
「明日から猛特訓な」
「は、はいっ！」
こうして、俺はAに数学を教えることとなった。
幸いにも幼馴染で家が近く、親同士も仲が良いのも相まって、ぜひぜひうちの娘を天才にしてください。とAの親に頼まれてしまった。
天才…は、無理かもしれないけど、とりあえずやれる事はやってやろう。
「この問題違うぞ。2だぞ。」
「え、だって移項したらここマイナスになるでしょ？」
「あ、そっか…」
こんな凡ミス1番あってはならない。少し悔しい顔をしているとAは何故だか嬉しそうな顔してこちらを見ていた。
「拓司が間違えてる！」
「俺だって間違える時ぐらいあるさ」
「なんか、自信湧いてきたー！このまま勉強したら拓司より上も夢じゃないかも！」
「言ったな？だったら賭しね？」
「賭…？」
何賭けるの？そう問いかけたAにそうだなぁ。お互いの唇は？と冗談ぽく伝えると、Aの顔は面白いぐらい真っ赤になった。
「負けた奴は勝った奴に唇を奪われるって訳な」
「ちょ、それ拓司どっちでも嬉しいんでしょ？」
「奪うのもいいけど、たまにはAから奪って欲しいなぁ」
「っ…変態！」
テスト結果が楽しみだなぁ
(彼女圧倒的不利)
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作者名：りんご | 作者ホームページ：
作成日時：2020年5月29日 14時
