八章 特級呪霊 ページ33
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『食堂、ここだねー・・・』
「うん・・・・・・開けるよ?」
食堂、と書かれたプレートの下がったドアの先からは強い気配が漏れ出ている。
傑は引き戸の窪みに手をかけると、確認をとった。
『うん、いいよ。準備は万全』
私がそう返事をすると、傑は目を閉じると、意を決したように目を開けて、ガラリと戸を開けた。
・・・扉の先には、何の変哲もない食堂が広がっていた・・・・・・とは行かず、倒れた机や椅子、割れた食器などが散乱しているという、酷い状況だった。
『んん、なんか変な臭いがするな・・・』
「あー、確かに・・・?」
『・・・なんか吸わない方がいい気がする。』
何となく、これは毒であると何かが言っている気がして、傑にハンカチを渡してあまり吸わないように言っておく。
「・・・ありがとう、洗って返すよ」
『いや、それ別に要らないやつだから大丈夫だよ』
取り敢えず早く進んだ方がいいと、足を早める。
・・・その瞬間、地面がガタガタと揺れ始めた。
「・・・!」
『来た・・・!』
ゴウ、と風が吹き抜けて、食堂の真ん中に人影が現れる。
そこに居たのは、無表情で、紫の髪を持った呪霊と、兎・・・といっても通常の兎より十倍は大きく、凶暴な顔つきの呪霊だった。
おそらく、人型の呪霊が特級の強い方だろう。
人型は後ろで結ばれた髪を揺らし、こちらを向いた。
呪霊の行動に警戒していた時。
・・・突然、人型の姿が掻き消えた。
『っ・・・!!!』
___刹那。
私の短刀にキィン、と高い音を鳴らしてぶつかったのは人型の持った刀だった。
人型は攻撃が受け止められたことを確認すると、瞬時に後ろに跳躍して距離をとる。
そして、そのまま刀を構えつつ此方に高速で向かってくる。
『っ、
蠱毒呪法・参・・・蠱毒!』
宣言と同時に私の周りに蝶や蟷螂等、様々な蟲が現れ、人型に向かっていく。
人型はそれを見ると、動きを止めた。
少し余裕が出来たため、傑の方をチラリと見る。
傑は兎呪霊と戦っていて、戦況は五分五分と言ったところだった。
状況確認を済ませ、人型の方に視線を戻し、行動を確認する。
人型が、刀を振るう。
たったそれだけで、蟲は全て消えてしまった。
『・・・』
衝撃波で前が見えなくて、思わず目を細める。
…私の目に映ったのは、刀を思い切り振り上げる人型の姿だった。
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干し芋様 - 無関さん» ありがとうございます!!面白いと言って貰えて良かったですw更新頑張ります! (2021年12月13日 20時) (レス) id: 82356caa87 (このIDを非表示/違反報告)
無関 - すげぇ面白かったです!! (2021年12月11日 17時) (レス) @page41 id: dbba37e842 (このIDを非表示/違反報告)
干し芋様 - 紅さん» めっちゃくちゃ嬉しいです!!更新頑張ります! (2021年8月5日 20時) (レス) id: 82356caa87 (このIDを非表示/違反報告)
紅 - 神作品まさに神作品 (2021年8月3日 22時) (レス) id: 15d4b06566 (このIDを非表示/違反報告)
干し芋様 - そう言って貰えて嬉しいです…!応援ありがとうございます、頑張ります! (2021年7月8日 20時) (レス) id: 0f667d0daa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:干し芋様 | 作成日時:2021年5月28日 20時