大切な思い出 ページ35
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夢を見た。
私がミンハオへの恋心を自覚した時の、懐かしい夢だった。
その日は、うちの家族とミンハオの家族で山にキャンプに行ってた。
私とミンハオは絶対行ってはダメだと言われていた川の方へ親の目を盗んで探検に出かけ、夢中で遊んでいるうちにテントへの帰り道が分からなくなってしまった。
小学六年生の、冬も間近だった11月の寒い日暮れ時。
やんちゃだった私達は、川の水面から頭を出した凸凹石をピョンピョン渡って川向かいの林にまで来ていて
野ウサギみたいな動物を見つけて追いかけ、気づいたら山の深い真っ暗な中にいた。
お父さん、お母さんって叫んでも全然応えはなくて。
このまま一生ここから帰れないんじゃないかって本当に怖くて、寒くて、お腹空いて、
泣き出す私にミンハオは大丈夫だよって、絶対帰れるからってずっと言い続けてた。
お腹空いたって言ったらポケットにあった一個しかない飴をくれて
寒いって言ったらパーカーを脱いで私に着せてくれて
自分もお腹空いてたに決まってるのに、パーカー脱いだら半袖だったのに
一言も弱音を吐かずに私の手を握っていてくれた。
全力でミンハオに守られて、私とミンハオは違うんだってその時初めて気づいた。
そして私は、こんなに怖い目に遭っても、ミンハオがいれば大丈夫なんだって。
結局1時間もしないうちに川まで戻れて、私の泣き声を聞きつけた親が川を渡って迎えに来てくれた。
散々怒られたし、あんなに怖い思いをしたのに、私の中であの日の事はとても大切な思い出になった。
「あ、おはようAちゃん」
「おはようジュンさん…って、え?」
何かいい匂いがするなぁって起き抜けの寝ぼけ頭で寝室から出ると、なんとテーブルの上には既に朝食が用意されていた。
トーストにミニトマトとウインナーとスクランブルエッグが添えられていて、スープまである。
「ごめん、あったもの色々使っちゃったけどよかった?」
「え、全然大丈夫…ていうか…え、凄い…」
「普通の物しか作れないんだけど味はおかしくないと思う!食べよ〜」
「うん…」
顔を洗って着替えも済ませてテーブルにつくと、待ってくれてたジュンさんといただきますして朝食に口をつけた。
「わー…美味しい。凄く美味しい、ジュンさん」
「ホント?良かった!」
「嬉しいなぁ…ありがとう。なんか染みる…」
温かいスープの優しい味に心も体も癒される。
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桜(プロフ) - bananalove0705さん» すみません、まだ空っぽなので一話でもアップできたらすぐにパス外しますね!少々お待ちください^ ^ (2020年4月10日 18時) (レス) id: 5aafe05b98 (このIDを非表示/違反報告)
bananalove0705(プロフ) - 番外編のパスワード教えていただきたいです! (2020年4月9日 23時) (レス) id: bc0232df0e (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - こゆきさん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けてとても嬉しいです!頑張ってお話進めますね! (2020年2月19日 17時) (レス) id: 5ee86f0a2e (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - この話面白くて大好きです! 更新がんばってください! (2020年2月16日 23時) (レス) id: cf5519a127 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - めぐさん» コメントありがとうございます!繊細なんて嬉しい!なかなかスムーズに進みませんが、楽しんで頂けるよう頑張ります!これからもどうぞよろしくお願いします! (2020年2月15日 2時) (レス) id: 5ee86f0a2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nyar | 作成日時:2019年11月30日 1時