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Aが車椅子でお兄さんを迎えに行ったのを見送り、俺たちは集まった。
そんなに時間に猶予はない、きっと真っ直ぐこの控え室にいらっしゃるだろう。
俺はみんなに、ただ一言、こう伝えた。
「お兄さんがいらしたら、俺にまず一言言わせて欲しい。その後は任せる、それだけ」
皆は頷いて、緊張しながらも全員座っていられず、立って待っていた。
久しぶりにお会いするし、何よりAがいちばんの恩人だとよく口にするお兄さんだから。
Aをこの世界に入れてくれた人、そんなの俺たちが緊張しないわけがない。
控え室のドアが２回ノックされた時、俺たちは背筋を伸ばした。
「えっ、なんでみんな、立ってるの？」
「…わあ、えっと…こんにちは？」
「お久しぶりです」
拙い韓国語で挨拶してくれた、Aによく似た目をしてる、スマートなお兄さん。
身長がすごく高くはないけど、脚が長くて顔が小さいことを最初は驚いてしまった。この容姿で、ごく普通の一般人として過ごしているのだから。
俺がリーダーとして挨拶をし、差し出された手に握手をして、深呼吸をする。
伝えたかったのはただひとつ、
謝罪だった。
「Aの、おにいさん。
本当に、…Aをまもることができなくて、…ごめんなさい。本当に、すみませんでした」
「…、」
「ぼくたちは、Aに、守られてばかりです。しあわせにするといったのに、…守ることができなくて、…もうしわけありません」
「クプスオッパ…」
深く、頭を下げた。
続いて皆が頭を下げたのが、なんとなく気配でわかる。
俺は、Aをずっと守るとお兄さんに約束した。たくさん笑わせて、たくさん幸せにするから、安心してくださいとまで言ったのに。
Aに、怪我をさせてしまった。
あろうことか、すべて自分の責任だとAに、女の子に、言わせてしまった。
俺たちは逆に、守られてばかりだ。
殴られる覚悟もあった。
だけどAのお兄さんから発せられた言葉に、俺たちを責めるようなことは、なにひとつなかった。
「…どうして、謝るんですか？」
「……、」
「Aはいま幸せだって、顔を見たら分かりますよ」
「…お兄ちゃん」
「どうか、顔を上げてください」
悔しいけれど、通訳さんを通さないと分からない言葉。
俺達は、やっと、通訳さんを伝って"顔をあげてください"と言われた時に緊張が解けた。
Aに良く似たあの笑顔で、あの独特の柔らかい声で、お兄さんは俺たちに話してくれた。
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さか(プロフ) - ふわふわした話だけじゃなくて、少し辛いお話が混ざってるのがとても好きです。でも、あまり過度ではなく直接的な痛い表現などは避けて書かれているのかなと伺えるので読んでいても辛い気持ちにはなりません。程よく読みやすくとても好きなお話です。 (2月13日 6時) (
レス) id: 4188621a8f (このIDを非表示/違反報告)
ちゅんちゃん(プロフ) - 尊都さん» ご期待通りの作品が書けなくて申し訳ございません。似たようなエピソードが多くてマンネリしてしまうよりはと試行錯誤で…優しいお話が少なくなってしまいましたね、ごめんなさい。ほわほわしたお話はTwitterに多いと思います。貴重なご意見ありがとうございました。 (12月26日 8時) (レス) id: 88fa47c8d9 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅんちゃん(プロフ) - 治外法権な鯖缶さん» いつもありがとうございます！マシュマロでもこちらでも、いただいたお言葉を大事に致します…！ (12月26日 8時) (レス) id: 88fa47c8d9 (このIDを非表示/違反報告)
尊都(プロフ) - 題名的にメンバーとのほのぼのとしたエピソードが読めると思っていたのですが、愛故にたくさん喧嘩してますし怒られてますし、サセンが激しいしで題名とのギャップに驚きました笑 少し心が痛いです笑 かわいい夢主ちゃんをたくさん見たいです。更新頑張ってくださいね! (12月26日 6時) (レス) id: 6a52012404 (このIDを非表示/違反報告)
治外法権な鯖缶(プロフ) - 鯖缶です。ジスハンが二人でお迎えはドラマみたいでいいですねー！絵面が強いです！！長文感想やリクはマロで、短いのはこちらで送りますねー！ (11月30日 1時) (レス) id: c33756e305 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゅんちゃん | 作成日時：2020年11月27日 8時
