コード・ブルー ‐もう一人の医者‐ (ページ18)

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〔A〕

「ほら、今日はぱーっと飲もう！
　折角橘先生が行って来いって
　同期全員夜勤無いんだしさ！」

「心配だけど、久しぶりに全員揃ったから
　今日は飲む！恒夫おかわり！」

既にほろ酔いな緋山先生と白石は
日頃のストレスからかペースが速い。

「藤川、お前はあまり飲むなよ。」

「分かってるってー、俺には遥がいるからなぁ！」

嬉しそうに冴島さんの肩に手を置いた藤川先生は
軽く手を払われてしょんぼりしている。

頼んだジントニックをちびちびと飲んでいたら
程良くお酒の入った緋山先生が
スルリと肩を組んで来た。

「ちょっとA、あんた全然飲んでないじゃん」

『いや…そんな事無い。』

「えー、全然飲んでないよー。
　あ、お酒飲めないの？」

酔った緋山先生と白石先生を宥めていたけれど
負けず嫌いの血が騒ぎ出している。
ここで乗ったら負けだと分かっているけど、つい。

『…別に、飲めます。』

半分以上残っていたグラスを一気に煽る。
…まずい、一気に飲んでしまった。

やってしまったと思う反面、久しぶりに楽しい
と感じてる訳だし良いかも、なんて。

煽られるとついムキになって対抗してしまう所は
昔から、本当に成長してないな。
まぁ、そのお陰で海外(あっち)でもやっていけた
とは思うから、一長一短なんだよな、と
アルコールの回って来た、ふわふわした頭で考える。

「ほらほら、グラス持って！
　もう一回かんぱーい！」

「あ、ねぇ恒夫。Aって、女の子だから。
　残念だったねー、顔は好みなのに！」

「…えぇ！そうなの？！残念…」

数秒フリーズした後かなりのショックを受けてる
メリージェーン洋子さん。
緋山先生に騙されて、ちょっと可哀想だな。
お酒も入って、ちょっとくらい場を盛り上げようか。

『藍沢先生居るから、大丈夫でしょ。』

「ダーリン！やっぱり運命の人はダーリンね！」

一人離れて飲む藍沢先生に、ちょっとした意地悪を。

「A先生って、案外面白い方ですね。」

『冴島さんも。全然怖くないです。』

いつもとは雰囲気の違う冴島さんと2人
顔を見合わせて密かに笑う。

「あー！A笑ってる！」

「冴島、どうやった訳？！」

「別に、2人より仲良くなっただけよ、ね？」

うんうん、と素直に頷くと再び2人に絡まれる。

まだ、夜は始まったばかり。