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宮舘くんは私を家に上がらせてくれた。
親御さんは仕事でいないみたいで、すぐに宮舘くんの部屋に連れていかれる。
大きなタオルを取ってきてくれて、立ったまま髪をガシガシと拭かれる。
「あそこで何してたの」
どこまでも優しい宮舘くんは、そう小さな声で聞いてくれた。
濡れた前髪をかき分け、私の顔を覗く彼と目が合う。
「記念日のプレゼント、ダメになっちゃった」
無理して笑いながらずっと握りしめていた紙袋を見せるように持ち上げると、宮舘くんは顔を顰めた。
眉間に皺を寄せ、怒ったように私を睨む。
「あいつがそうさせんだ」
「…」
何も言わない私に、宮舘くんは小さくため息をついた。
「このままだと風邪ひくか。デリカシーないかもしれないけど、下着まで濡れてないよね」
コクンと頷くと、彼はタンスから自分のズボンとTシャツを出した。
私に突き出して渡す。
「風呂すぐお湯張ると思うからちょっと待ってて、そしてら入っていいから。んで、あがったらそれ着るんだからね」
ポンッと頭に手を置いて、さらに髪をタオルで拭いてくれた。
優しい彼に胸が痛くなり、また泣きそうになったがグッと堪える。
「…ありがとう」
「いいよ」
その後、お風呂のお湯はりが終わったと伝えに部屋まで来てくれて。
いた場所を交換するように、私はお風呂を貸してもらった。
渡されたバスタオルと服を置いて、湯船に浸かって。
一人になった空間で、湯気をぼーっと見つめる。
じわじわと浮かんできた涙を抑えるように目を瞑った。
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作者名：ガム | 作成日時：2022年9月25日 15時
