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もう心は完全に冷えきり、踵を返してとぼとぼと歩き出す。
思い出される先輩との思い出一つ一つに、終わりを告げていく。
あの日あの時あの場所で約束したもの全て、嘘だったんだ。
優しく笑う先輩が大好きで、頭を撫でてくれる手が大好きで。
でもそれも、全部全部きっと。
涙が止まらなかった。
どうしたらいいか分からず、家に帰りたくもなく。
そうして着いたのは公園だった。
冷酷な雨は、私と先輩との時間を全て流してくれるようで。
もう忘れたいと思っている私にはむしろ有難かった。
余計なこと考えなくて済む。
今はこうして何もかも忘れて…
「A！？な、何してんの！！」
え…？
呆然とした頭で振り向くと、気づいた時には抱きしめられていた。
暖かい体温、男らしい腕。
知ってる、この優しい匂い。
「ビショビショじゃん…。とりあえず俺ん家行こ」
優しい声が上から降ってきて、そっと見上げる。
なんでこういう時来ちゃうかな。
どうしてこう弱ってる時に助けてくれちゃうのかな。
もう…ダメだよ、宮舘くん。
放り投げたビニール傘を再び手に持ち、私の肩を抱き引き寄せるように歩き出す彼。
寄り添うように歩くしかできなかった。
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作者名：ガム | 作成日時：2022年9月25日 15時
