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開会式が終わり、各団の団長が配置につき応援開始。
まずはパン食い競走からスタートだ。
ジャンケンに負けた深澤くんがダラダラ走っている。
あんなに美味しそうなパンを目の前にしてよくゆっくり走れるなぁ。
私だったら全部食べたいから全部に食いついちゃう。
竿からぶらさがっている調理パンや甘いパンにヨダレが垂れる。
じーっとパンだけを見ていたら、横から黄色い歓声が聞こえた。
見てみれば、バラバラの色の女の子たちが一斉に深澤くんを応援していて。
その声を聞いた瞬間、深澤くんの目が輝き出す。
それはもう忍者かと思うほどの早さでパンに食らいつく。
見たことない速さでゴールし、ドヤ顔でパンを掲げた。
キャーっと黄色い歓声がさらに上がる。
あ、確かあの子がミカちゃんだ。
その横にいるのがカオルちゃんで、ミナミちゃんとカナエちゃんと。
すごい私、深澤くんの元カノ全部言えちゃうかも。
そんな馬鹿なことを考えていると、クラスの子が私の名前を呼んだ。
「Aちゃーん！次私たちだよ！行こう！」
「う、うん！」
わざわざ来てくれて手を引かれる。
私たち女子４人が出るのは四人五脚だ。
二人三脚が有名かと思われるが、その倍の人数でやるのが私たちの学校である。
人数が多い分、息を合わせるのがものすごく大変で。
けどたくさん練習したから、きっと大丈夫。
「頑張って」
「ありがとう！」
すれ違いざま宮舘くんが応援してくれた。
走りながらお礼を言うと優しく笑ってくれて。
俄然やる気が出てきた。
さぁ足を固定してスタートの合図と同時に走り出すだけだ、と身を構えていると。
反対側に見えた黄団の綺麗な女の人が目に飛び込んできた。
あ、あれ、先輩とキスしてた人。
同じ学校だったんだ。一つ年上の先輩だったんですね。
彼女も私に気づいたのか、気まずそうに目をそらされる。
あ、なんだろう、すごい腹立ってきた。
「Aちゃん、なんかAちゃんの周りメラメラ燃えてる」
隣の子が苦笑いする。
「先輩にも負けないくらい頑張ろう、絶対勝つよ」
親指をグッと立て皆に念を押す。
もう絶対一位とってやる。
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作者名：ガム | 作成日時：2022年9月25日 15時
