令和から来た私だけど、まぁとりあえず鬼殺隊には入るよね

弐拾捌　試験開始 ページ31

もうすぐ試験が始まるーとかなんとか、カッコつけて言ってみたけど、別にカッコよくなかった。

あのかわいいお二人さんはなんて名前なのかしら、知りたーい。

いやね、アニメ派だったからね、私。

本誌も単行本も買えてなかったのよ。

あ、別に貧乏とかじゃないよ？普通よりちょい裕福な家庭ではあったのよ。

でもね、なんかね、お母さんがちょっとね、あれなわけ、1人で出かける？何言ってるの馬鹿じゃないの？、みたいな感じの人でね。うんうん。

まぁ、ろくに本屋にも行けなかったわけですよ。

え？物語の最初にツルハに行ってた？

いやいや、あれは、家の近くだったからさ。

バスとか使わなくても行ける距離だし、ツルハ行った理由もご飯のためだから。

本のために出かけるのは多分許されないからね？ホントに。




「A？行かないのか？」


「え、あ、うん、行く行く。」




心ん中でくだらん事考えてたらあの二人の説明終わってたぜ。いぇい。

いや正直、聞いてもよくわからんと思うよ、私。

要するに『鬼がパリピやってるこの森の中にみんなをぶち込むから、7日間頑張って生きてね、生きてたらまたここで出会おうぜ！』ってことでしょ？はいはい、理解理解。




「なぁ、A。」


「ん、どした？」


「Aはなんで鬼殺隊に入ろうと思ったんだ？」


「え？私？えー、そうだなー。
んー、私説明が苦手だから、上手く伝わんなかったらごめんだけど………………………………。
たまたま私が行った町で、ちょっと、そのー、金よこせおらぁって男の人に脅されたんだよね。
まぁ、その時私のお師匠さんが助けてくれて。
私もそのあと助けてくれたお礼とか諸々して、お師匠さんから私に剣士にならないかーって言ってきたから、いーですよー、みたいな？
………いや、ごめん、こんなんでわかった？」


「あ、うん、わかったぞ。」


「いやほんとにごめん、説明下手で申し訳ない。」


「いや！大丈夫だ！ちゃんとわかった！」




白、は……。えーっと、あれだ、純粋だ。

じゃあほんとに分かったんだ、すげぇな。

ってか、私。金よこせおらぁってなに。

もうちょっと言い方があったでしょ。

ほら、あれじゃん、金取りとかさ、そんな言葉あるか知らんけども…………。

でももうちょいなんかあったじゃんねぇ？

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