壱 彼女の話 ページ3
「はぁ〜…ふぃ……ねむ…」
始まって早々、少しばかり個性的なあくびをかましたこの娘。
名を
が、本人はJKなどということに関しては少しも興味はない。
それにあまり女子高校生としての自覚はない。
いや、女としての自覚はある。が、高校生としての自覚はないのだ。
彼女は通信制の高校に通うため、学校に行くことはほとんどない。
制服もなく、私服登校のため学生という自覚は微塵もない。本当に、びっくりするぐらい、ない。
「まだかな〜……あぁ、炊けてないね。」
彼女は今昼食の準備中だ。
あとは米が炊ければ出来上がり。
先程からまだかまだかと炊飯器を数分ごとに見に来るのだ。
「……あ? ちょっとまって…え? これ……」
そうして見るのはとうに10を越す炊飯器。
先程まで炊飯器は米を炊くために作動していたはず、それなのに今は電源が落ちていた。
コンセントはさしたままなのを確認した彼女は、炊飯器の蓋を開け中を見てみる。
「これは……炊けて、ない、な、うん、炊けてない。
は?なんで?壊れたの?いやいやこのタイミングで?
無理なんだけど、嘘でしょご飯どうすんの、なんで、さっきまで動いてたじゃん、え? レトルトご飯もないんだけど?ご飯なしでおかずだけ食えと? 嘘だろ、無理だから。 うん、無理。
いやまぁ、たしかにこの炊飯器長生きしたけどさ、え? いきなり壊れるの?
無理、無理オブ無理、助けてくれご飯が食べたいんだよ……」
そう、急に炊飯器が動かなくなったのだ。
しかも中に入っていたご飯はベッチャベチャだ。こんなものは食べられない。お粥じゃないんだ無理だろ、と彼女は心の中でも文句タラタラだ。
急ぎ母に連絡を入れる。
「ツルハでレトルトご飯買ってきなって?
外めちゃくちゃ暑いのに?死ねってこと?
死ねっていうの?私に?
暑いの苦手って知ってるじゃん、やだよ、でも買いに行かないと私のお昼ご飯が…」
彼女はかなりの暑がりだ。
そして今日は気温32℃。
「あー……えぇ?……本気なの?いやぁでもなぁ……行くしかないよなぁ…はぁ、行くのかぁ…………行くのかぁ。」
彼女は家の鍵と携帯をズボンのポケットに。
財布を手に持ち家を出た。
徒歩5分弱。家から近いツルハではそんなもので着く。
「あっつい、ツルハん中涼しいかな。」
そんなことを呟きながら、彼女はツルハの自動ドアを通るのだった。
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千秋 - わたしもマンガや占ツクで人生救われてます。 (2021年9月5日 10時) (レス) id: 9b2ede0f16 (このIDを非表示/違反報告)
皐月 歩(プロフ) - ひかるんさん» コメントありがとうございます!ホントですか笑 私も占ツクで夢小説読みますが、出身地に「北海道」って書いてるだけで「おぉ!」ってなります笑 そう言っていただけると嬉しいです!これからも読んでくださると嬉しいです! (2020年2月7日 21時) (レス) id: a5856dc1fc (このIDを非表示/違反報告)
ひかるん(プロフ) - 夢主と出身地全く同じです…笑運命感じました笑おはなし面白かった。! (2020年2月7日 21時) (レス) id: d7aec245e0 (このIDを非表示/違反報告)
皐月 歩(プロフ) - ナツさん» コメントありがとうございます!へぇ、そうなんですね!実は私は道民でして、北海道は夏でもそんなに気温が上がらないので、知りませんでした!新しく知識を得ることができました笑 ありがとうございます! (2019年12月15日 15時) (レス) id: a5856dc1fc (このIDを非表示/違反報告)
ナツ - ツルハドラッグは全国にあると言えばあるけど、割とローカルなお店ですよね笑 道民以外の人からすると32度は涼しいと思います(真顔) (2019年12月15日 11時) (レス) id: ab2b848f50 (このIDを非表示/違反報告)
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