第42話 時既に遅し ページ44
七海side
七海「…貴方は呪術師になるべきではなかった」
「それは、私が"特別"だからですか?」
正直、驚いた。
私の放った言葉に動揺を見せず、まるで分かっていたかの様な彼女の姿に。
彼女が知る由もない事実が、彼女自身の口から出たことに。
それと同時に、五条さんを探す理由を理解した。彼女は自身について今まさに知ろうとしているのだ。そのきっかけが何処でどの様にあったのかは知らない。だが、見当はついた。
「否定、してくれないんですね」
七海「……貴方はそれを望まないでしょう」
呪術師に年齢など関係ない。が、私は大人で彼女は子供。それは変わらない事実だ。その筈なのに、時々見せる姿と言動が、不気味なほど大人びている。
現に今、感じているのがそれだ。
「"事実に即し己を律する"…以前、七海さんが仰っていましたよね。その結果が私は呪術師なんです」
七海「家族の反対を押し切り、"普通"を捨ててまで歩む道とは思えませんが」
「あはは、手厳しいですね…でも一度決めた道を引き返すなんて真似、私は絶対にしませんよ」
笑って話した彼女の目は真っ直ぐ前を見据えている。
その顔は透き通っていて曇りがない。
都合良く吹いた風は涼しさを感じさせるどころか夏を助長させる生暖かいもので、風の抜けていく先にぼんやりと彼女の探し人が見えた。
こちらに気付いたのか子供のように手をブンブンと振ってくる。同じように振り返す彼女を横目に、絡まれる前に立ち去るべく方向転換した。
「あれ、行き先こっちじゃないんですか?」
七海「絡まれても面倒なので。遠回りして行きます」
「あぁ、なるほど…」
七海「…反対していたお父上も、今の貴方を見たら結局は応援するのでしょうね」
「ん〜そうだと良いんですけど…」
そう言って眉を下げて頭を掻いた彼女に別れを告げ、
歩みを進める。
娘への愛が重い過保護で親バカな人ではあったが、最期まで立派な人だった。
彼女の目は、あの人によく似ている。
「あっ、道案内ありがとうございました!七海さんのなんだかんだ優しい所、大好きです!!」
七海「桜小路さん、そういう発言は軽率に…」
五条「なになにぃ〜?もしかしてそういう事?詳しく聞かせろよ七海〜!あ、それとも僕お邪魔だった?」
七海「………」
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ばる - えー覚えてくださってるんですか!ありがとうございます(^ ^*)少しでも作者さんの励みになっているなら嬉しい限りですよ(*´ω`*) (2020年7月28日 20時) (レス) id: b61d069a33 (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - ばるさん» 見覚えのあるお名前と顔文字だと思ったらどちらも読んで頂いてるなんて…!!コメントとても嬉しいです!ありがとうございます。誠心誠意更新していくので宜しくお願いします! (2020年7月27日 17時) (レス) id: 619558bbc0 (このIDを非表示/違反報告)
ばる - 作者さんの別作品(銀/魂)も読ませていただいている者です。呪/術/廻/戦もすごく好きな漫画なので嬉しいです!どちらの作品も楽しみに待ってます(*^^*) (2020年7月26日 11時) (レス) id: b61d069a33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊ひな | 作成日時:2020年5月18日 23時