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第34話 始まる日常 ページ36

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釘崎「長生きしろよって…自分が死んでりゃ世話ないわよ」



高専敷地内。

先日の任務で負った怪我も回復してきた折、三人で集まって階段に腰を掛け、開口一番に野薔薇ちゃんがそう呟いた。



釘崎「….アンタら仲間が死ぬの初めて?」

伏黒「同級生(タメ)は初めてだ」

「…私も」



……身内以外は、初めてである。

どうしても重苦しくなる空気。別にこれをどうこうしようとは思わないけれど、やはり時間が経つともっと良い方法があったのではないか、と考えては憂えてしまう。



釘崎「ふーん、その割に平気そうね」

伏黒「……お前もな」

釘崎「当然でしょ、会って二週間やそこらよ。そんな男が泣いて泣き喚く程チョロい女じゃないのよ」



そう言ってそっぽを向く彼女の顔は窺えないが、その声は微かに震えていた。見なくても、何かを堪えている事ぐらい察せる。


母が亡くなった時、私はまだ幼くて、一夜明けた次の日も、その次の日も泣いていた。

父が亡くなった時、昔に比べそれなりに成長していたけれど、それでも悲しくて泣いた。

祖母が亡くなった時、高専入学が決定して嬉しかったのに、帰ったら祖母が動かなくて、それで……あれ、

私、祖母の死で一度も__



伏黒「__オイ、」

「え?あ…ごめん。ちょっと、ぼーっとしてた」

釘崎「大丈夫?」

「うん、平気。借り、返せなかったなって…」



伏黒に肩を叩かれてハッとする。二人に心配をかけてしまったみたいで申し訳ない。


幼い頃は親を困らすぐらいに泣いていたのに、今となっては泣き方を忘れてしまったのか、鼻の奥がツーンと痛むのも目の縁から滲み出るものも無い。

……祖母の時も、そうだった。



伏黒「…暑いな」

釘崎「……そうね、夏服はまだかしら」



涙が悲しみの全てでは無いが、それでも泣きそうだった彼女を見ていると自分が死に慣れてしまっているようで、言い知れぬ恐怖を感じた。



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第35話 強個性→←第33話 悲雨



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ばる - えー覚えてくださってるんですか!ありがとうございます(^ ^*)少しでも作者さんの励みになっているなら嬉しい限りですよ(*´ω`*) (2020年7月28日 20時) (レス) id: b61d069a33 (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - ばるさん» 見覚えのあるお名前と顔文字だと思ったらどちらも読んで頂いてるなんて…!!コメントとても嬉しいです!ありがとうございます。誠心誠意更新していくので宜しくお願いします! (2020年7月27日 17時) (レス) id: 619558bbc0 (このIDを非表示/違反報告)
ばる - 作者さんの別作品(銀/魂)も読ませていただいている者です。呪/術/廻/戦もすごく好きな漫画なので嬉しいです!どちらの作品も楽しみに待ってます(*^^*) (2020年7月26日 11時) (レス) id: b61d069a33 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柊ひな | 作成日時:2020年5月18日 23時

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