第百五十三訓 ページ11
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今朝方の会議で、伊東さんが土方さんの現行動を指摘し、土方さんの無期限謹慎処分が決まった。
前話でも述べた通り最近の土方さんの行動は目に余るものがあり、局中法度を犯すことをしばしば。そこを伊東さんが見逃すはずもなく、呆気なく土方さんは屯所を去った。
結果、土方さんがいなくなったので土方さんに回る筈の仕事が私に回ってきた。その為、朝から夕方の今の今までずっとデスクワーク。
ずっと同じ姿勢でいたので肩凝りが激しい。甘いものを補給しようと肩を回しながら食堂に向かうと、偶然伊東さんと会ったので、一緒にお茶することに。
お団子とお茶を持って縁側に二人で腰掛け、煎茶を啜り一息つくと、擦り寄ってきた猫を撫でながら伊東さんが口火を切った。
伊東「まさか君から誘ってくれるとは思わなかったよ」
「嫌でした?」
伊東「いや、君のことだから社交辞令かと思ってね」
そうでもないと、返事をしながら団子を口に運ぶ。伊東さんの上で丸くなっている猫が可愛らしかったので撫でようと手を伸ばすと、フーッと威嚇されてしまった。
……そんなに私に触られるのが嫌か。
元々、動物には好かれないタチではあったけれど。
万事屋にいる定春くんは私が触っても怒らないので(手は血だらけになっている)もしかしたら…と期待を込めてしまったが、勘違いだったようで普通に無理だった。シンプルに傷付く。
伊東「__あれから、色々考えてみたんだが…」
「あれから?」
伊東「君を落とせなかったあの日のことだよ」
先程から疑問符ばかりの私は置いといて、そういえばそんな事もあったなと、呑気に思い出した。
仕事に追われる日々のせいで頭の片隅ですみっコぐらししていた記憶を引っ張り出す。一週間ほど前の出来事だっただろうか。
「…覚えてたんですね」
伊東「あァ、それで考えたんだが…妙に回りくどい事はせずにきちんと伝えることにしようと思ってね」
そう言って、見上げていた顔をこちらに向けた伊東さん。初めて見る表情と、頰に伸びてきた手に一瞬戸惑う。
伊東「___好きだ、A君」
膝の上で丸くなっていた猫がピョンと跳んで草むらに消えていったのに動じず、熱の籠もった目を私に合わせ、彼はそう言ったのだった。
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ばる - 更新ありがとうございます(o^^o)短編集も見てみます!応援しています(*^_^*) (2019年10月23日 21時) (レス) id: a4bb1cfb64 (このIDを非表示/違反報告)
ばる - 柊ひなさん» なぜか全く身に覚えのない\マークが入ってしまいました…。なんの意味もないのでスルーしてください(T_T) (2019年9月12日 14時) (レス) id: a4bb1cfb64 (このIDを非表示/違反報告)
ばる - 柊ひなさん» わー!返信頂けると思っていなかったので凄く嬉しいです\(( °ω° ))/申し訳ないことなんてないですよ!柊ひなさんの気が向いたときにでも更新してくだされば私がめちゃめちゃ喜びます\( 'ω')/これからも応援していきますね!! (2019年9月12日 14時) (レス) id: a4bb1cfb64 (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - ばるさん» んんん〜〜!!とっても温かい感想ありがとうございます!!自分の妄想を爆発させただけの作品で喜んでくれる方がいるなんて本当に嬉しいです。週一更新を目指しているのですがなかなか出来ず申し訳ない。。。あー引きこもってたい!! (2019年9月11日 23時) (レス) id: 68ffe842de (このIDを非表示/違反報告)
ばる - はじめまして(*^^*)柊ひなさんの小説、原作に忠実かつ主人公が浮いていなくて最初から最新話まで何回も読み返ししているくらい大好きです(o^^o)これからも柊ひなさんのペースでの更新、楽しみにしていますo(^▽^)o (2019年9月6日 22時) (レス) id: a4bb1cfb64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊ひな | 作成日時:2019年7月15日 15時