第六十訓 ページ13
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……アレ。死んでない。
瞬間的に瞑った目を開けると、目の前には星海坊主さんが私達を、神楽ちゃんを守るように立っていて。
「ぼっ…坊主さん」
「クク、俺も焼きがまわったようだ。他人を護ってくたばるなんざ」
そう言って倒れた彼に駆け寄るが、反応はない。浅いが呼吸はしているので生きてはいるのだろう。
その後、深手を負った神楽ちゃんは急いで病院に運ばれ、ターミナルはしばらく運休。
私はというと怪我なんてカスリもしなかったので今は星海坊主を探している。倒れた後、気付いたらいなくなっていたのだ。助けてくれたお礼を言いたいのに。
ターミナルの周りをぐるぐる歩いていると、遠くの方にぼんやりとその人の姿が見えた。
「あら、旦那もいたんですね」
「お前こそ何でいんだ。野郎どもが探し回ってたぞ」
それは困った。手短に済まさなければ。帰りが遅いとまたうるさいもんな、あの人達。
旦那から視線を外し星海坊主を見る。今まできちんと見たことがなかったが、改めて見ると感慨深い。
「…いや、何この子。そんな見ないでもらえるかな。何、俺の顔に何かついてる?…せめて何か言ってくんない」
「すいません。あまりに綺麗なハゲっぷりだったもので見惚れてました」
「誰の頭がハゲだコラ。急に現れて失礼なこと言いやがって」
ぼーっと見てれば青筋をたてて睨んでくる星海坊主さん。そういえば神楽ちゃんのお父様だった。
「ごめんなさいハゲさん。神楽ちゃんのお父様に私ったらハゲとかツルッパゲとか言っちゃって…ごめんなさいツルッパゲさん」
「ツルッパゲは今言った。今言ったよな?いい加減にしないと殺すからなホント、その可愛い顔ボコボコにすっからな」
「まあまあ、落ち着けってハゲさん。そんな恥ずかしげもなく光らせてりゃ誰だってそう言っちまうさ」
「てめーらはまず自分の口をもっと恥じろ」
先程よりも青筋を立てる彼を宥めていると、旦那が遠くを見つめて「あ、」と。
「お前の連れ、来たぞ」
「えっ」と驚いて振り返れば、全速力で走ってくる土方さんがそこにいた。物凄い形相、鬼もびっくりだ。
…いや待て、これはマズイ。
「すいませんが私はこれで。星海坊主さん助けてくれてありがとうございました」
早口でお礼を述べ「ではまた」と逃げるように走る。呼び止められた気がするが答えられなかった。止まったら死ぬ。
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柊ひな(プロフ) - 桜さん» 面白い……!?そう言って頂けるとお世辞だとしてもとても嬉しいです!更新頻度がバラバラで申し訳ない限りなのですが、私の出来る範囲で頑張っていこうと思います!コメントありがとうございます! (2019年5月4日 0時) (レス) id: de18b107bf (このIDを非表示/違反報告)
桜 - コメント失礼します。初めて読まさせていただきましたが、すごく面白いです!更新頑張ってください! (2019年5月2日 18時) (レス) id: 7ff3846d52 (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - 折角お誘い下さったのに本当にごめんなさい!!!!!そんな私がこんな事を言うのはおこがましいと分かってはいるのですが、また別の機会に誘って下さると嬉しいです。長ったらしくてすいません。 (2019年4月27日 21時) (レス) id: 105b197957 (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - 軽く調べて見たのですが、まぃさん!素晴らしく可愛いですね!(見た目の清楚さが特に)だからこそド素人の私が書いてしまうとキャラ崩壊が半端じゃなく事故作品にしてしまう気がして、ミリアさんに迷惑をかけると思うんです… (2019年4月27日 21時) (レス) id: 105b197957 (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - お誘い下さりありがとうございます!銀魂恋愛合作!!是非ともご一緒にやらせて頂きたいのですが、私自身たくっちさんの動画を拝見した事がなく、名前なら知っているのですがご期待に添えるようにはできないと思います。 (2019年4月27日 21時) (レス) id: 105b197957 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊ひな | 作成日時:2019年4月17日 22時