第四十三訓 ページ44
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「みっ、みっ、みっ、見ちゃった!ホントにいた!!
ホントにいた!!」
「銀ちゃああん!!」
「奴らのことは忘れろィ、もうダメだ」
「今までありがとう。二人のことは忘れません」
後ろを振り返って叫ぶ万事屋と違って、ただただ前を向いて走り続ける薄情な真選組。
他人を心配なんてしてられない。自分が生き残るので精一杯なのだ。だから前だけ向いて走ってきたがドォンと後ろで大きな音がしたので思わず振り向く。
振り向くとあのピンチを上手くきり抜けてきたのか私達を追って走ってきた二人。否、きり抜けてなどいなかった
「しょってる!?女しょってるよオイ!!」
きり抜けてくるどころか連れてくるとは。止めていた足を再度動かし、二人から、いや、三人から逃げる。
蔵に逃げ込んだのと同じタイミングで、聞こえてくる断末魔…今度こそ確実に二人はやられた。
「…アーメン」
「しめたぜ。これで副長の座は俺のもんだィ」
「言ってる場合か!」
だんだん冷静になってきた脳であれこれ考えるも、なんだアレしか思いつかない。
明かり代わりに蚊取り線香を焚きながら、土方さんを亡き者にするため妖魔を呼んだことがあると総悟。そうすれば神楽ちゃんが黙っているはずもなく「銀ちゃんの敵!」と言って始まる取っ組み合い。
「静かにしてよ、その音でもしここがバレたらどうするの」
「なんでお前ら会うといっつも…」
その時、不自然に外から聞こえたカタッという物音。
扉に背を向けているので恐怖が倍増する。
……扉の方に絶対なんかいる。絶対いる。
冷や汗が止まらない中、確認しない訳にもいかず恐る恐るそちらを見遣る。
目線の先の扉はやはり少しだけ開いていて、その隙間から此方を覗き見るようにしている髪の長い何か。
呼吸を忘れ自身の息を飲む音は、新八くんの騒々しい叫び声によって掻き消された。
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柊ひな(プロフ) - サヤ&アキさん» 紅桜篇は書いてません!書く予定もないです。紅桜篇で真選組が登場するのは劇場版で、中嶌単体で出す案も考えたのですが無理矢理感が出ると思いやめました。吉原炎上篇も同じ理由で書く予定はなかったのですが書かないと新キャラ二人の出る機会がないと思い書きました。 (2021年3月3日 11時) (レス) id: 7c8f4bb7ef (このIDを非表示/違反報告)
サヤ&アキ - 紅桜編ってどこですか? (2021年3月3日 0時) (レス) id: a63af908e0 (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - 黒華さん» 私の紛らわしい言い方で気を遣わせてしまいすみません…不快だなんて全く思ってないです!わざわざ応援までありがとうございます(泣) 更新頑張ります! (2020年5月20日 17時) (レス) id: 3fe6b67371 (このIDを非表示/違反報告)
黒華(プロフ) - この間のコメントに不快を感じさせてしまっていたらすみませんm(*_ _)m物語シリーズを作者様が知っていたことが嬉しくて『おぉ!!』って思ったんです。銀魂な感じが出ている作風でとても好きです!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2020年5月20日 15時) (レス) id: 0ab52dedef (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - 黒華さん» そりゃ丸パクリして使われてたらゾワッてしますよね…笑 (2020年5月20日 15時) (レス) id: 3fe6b67371 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊ひな | 作成日時:2019年4月6日 23時