第十三訓 ページ14
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「女心と秋の空は変わりやすいものです、よっ!」
何度斬りかかっても防ぐばかり、そろそろ決めたいところだが、これがなかなか決まらない。斬り返してもこないし、稽古じゃないんだけどなこれ。
「ただいま戻りましたー」
そんな折、知らない声が玄関の方から聞こえてきた。
"ただいま"と言うことは、あの声の主はここに住んでいるのだと予想できる。
これは使えるかもしれない。
少し強引かもしれないが、これなら旦那も動く筈。私の気持ちを察知してか、旦那の木刀を持つ力が少し強くなる。これは上手く事が運びそうで、思わず口角が上がった。
「いや〜今日特売日だったんですね。ちょっと買いすぎちゃい…ぎ、銀さん!?」
驚くのも無理は無い。部屋は荒れて私と旦那は刀をむき出しで睨み合ってるし、ホント申し訳ない。
旦那に掛けていた力を一気に抜き、買い物袋を持った彼に走り寄る。後ろで追いかけてくる気配するが、きっと私には間に合わない。
小さく悲鳴を上げ、へっぴり腰になっている彼に斬りかかる。理由?彼を斬れば流石の旦那も怒って本当の喧嘩ができると思ったから。
勿論、そんな外道みたいな真似はしないけれど。
メガネ君に斬りかかると見せかけ、本当は旦那を誘き寄す作戦。自分で言うのもあれだが、かなり良い作戦だと思う。
メガネ君に刃が当たる前にクルッと方向転換。勢いを殺さずに腕を振る。追いかけて来た旦那に刃が当たる、私の勝ちが見えたその時だった。
「ごちゃごちゃうるさいネ。こんなんじゃロクに昼寝もできないアル」
思わず、手を止めてしまった。
え、どうして?なんで、ここに神楽ちゃんが?
見間違いと思い確認したが、何度見ても視線の先で目を擦ってる子は神楽ちゃんで、
「あっ、A〜!!」
「グヘッ、!」
「何でここに居るアルか?もしかして遊びに来たアルか!!」
そういえば池田屋事件の時、神楽ちゃんと旦那は一緒に居た。しかしまさか神楽ちゃんもここに住んでいたなんて、誤算だった。
「はい、終了〜」
「あ…」
神楽ちゃんとキャッキャッしていると、コツンと硬い感触が頭に触れ、見れば旦那が木刀で私を叩いたようだった。
この一瞬で忘れてしまったが、今は真剣勝負の真っ只中である。あはは、やってしまった。
「…部屋、汚くなっちゃいましたね」
「誰かさんのせいでな」
「あはは、すいません」
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柊ひな(プロフ) - サヤ&アキさん» 紅桜篇は書いてません!書く予定もないです。紅桜篇で真選組が登場するのは劇場版で、中嶌単体で出す案も考えたのですが無理矢理感が出ると思いやめました。吉原炎上篇も同じ理由で書く予定はなかったのですが書かないと新キャラ二人の出る機会がないと思い書きました。 (2021年3月3日 11時) (レス) id: 7c8f4bb7ef (このIDを非表示/違反報告)
サヤ&アキ - 紅桜編ってどこですか? (2021年3月3日 0時) (レス) id: a63af908e0 (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - 黒華さん» 私の紛らわしい言い方で気を遣わせてしまいすみません…不快だなんて全く思ってないです!わざわざ応援までありがとうございます(泣) 更新頑張ります! (2020年5月20日 17時) (レス) id: 3fe6b67371 (このIDを非表示/違反報告)
黒華(プロフ) - この間のコメントに不快を感じさせてしまっていたらすみませんm(*_ _)m物語シリーズを作者様が知っていたことが嬉しくて『おぉ!!』って思ったんです。銀魂な感じが出ている作風でとても好きです!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2020年5月20日 15時) (レス) id: 0ab52dedef (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - 黒華さん» そりゃ丸パクリして使われてたらゾワッてしますよね…笑 (2020年5月20日 15時) (レス) id: 3fe6b67371 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊ひな | 作成日時:2019年4月6日 23時