high & heel #sho 【3】

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求められるものに即座に応える彼らのポテンシャルの高さで撮影はスムーズに進み


ついに今日最後のカット




スタッフ「最後に平野さんのソロカットいただきます」




背景は真っ白で


緩く胸元を開いた白いシャツに、黒い細身のパンツ姿の紫耀


無駄な装飾なんて一切ない


ただ殺風景にみえるのに


紫耀がその場に立つだけで全てが洗練された空間に変わる


全てが、彼の美しさを引き立てる


でも当の本人はそんなセットの中を




紫耀「うわっ、真っ白すぎてまぶしー笑」




…なんて言って目をぱちぱちさせていた







監督「平野くんもうちょいカメラ寄れるかな」



紫耀「これくらい？ですか」




紫耀のソロカットは


紫耀が彼女の顎に手を添え、唇にリップを塗るというシチュエーション


あくまでも設定で、実際はカメラの前でフリだけ行えばいい



…いいのだけど






紫耀「監督すみませーん！やっぱりエアだと感覚掴めなくて笑

女性どなたか俺の前に立っていただけませんかね？」




監督「んー、今日モデル用意してないしな…」




突然の紫耀の言葉に、男だらけの現場の辺りを困ったように見渡した監督


そして監督の視線はピタっと止まる







監督「適役いるじゃん！」



A「えっ、わ、わたし？！！」






わたしの前で止まった監督の視線に、素っ頓狂な声を上げてしまい


チラッと紫耀を横目にみれば


悪巧みをした顔でこっちをみてる


…絶対わざとだ


でも、監督からの指示を断ることもできず


恐る恐るセットの中に入り


紫耀の前に立った





紫耀「監督、こんな感じでいいですか？」


監督「いい！この2人絵になるなぁ」




カメラの前で紫耀はなんの躊躇いもなくわたしの顎に手を添えて持ち上げ


右手にもったリップをわたしの唇へ乗せた


沢山の人がみているこんな場所で


こんな近距離で紫耀に触れられてることに


恥ずかしさと…少しの背徳感がわたしを襲う



すると…







紫耀「ねぇ、なんでずっと俺と目合わせてくれないの」




誰にも聞こえない小さな声で耳元に紫耀がそう呟く




紫耀「心配なんだけど。男たちみんなAのこと見てる」




A「………そんなことないから」





紫耀「今日、終わったら俺んちね」









反論の余地もなくそう囁かれ


なにも答えられず固まったわたし


気づけばOKのカットがかっていて紫耀はわたしに他人行儀に"ありがとうございました"なんて言って


スタッフたちに挨拶を済ませるとしれっと楽屋に消えていった





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