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数分置きに時計を気にしていたわたし
やっと12に長針が重なったのを確認すると急いで荷物をまとめ始める
後輩「先輩今日は定時上がりですか?珍しい。」
A「え?…う、うん。まあね」
後輩「ふーん。男か」
A「え?!」
後輩「わたしはてっきり山田さんとくっつくと思ってたのになぁ」
"今日たぶん20時過ぎには帰れると思う"
そんなメッセージが平野くんから届いたのはランチタイムを過ぎた頃で
無理矢理仕事を切り上げると、勘の鋭い後輩がそう言った
この前、そんなのいいからって念を押したにも関わらず
後輩が言葉通り開いてくれたわたしの誕生日会には山田くんや他の同期もいたりして
こういう場で何かとわたしとのことを茶化される山田くんは
"もうきっぱり振られてるんで俺"って、みんなの前で宣言をした
山田くんはいつものように笑っていたけど、その笑顔に少し胸が痛んだ
山田くんとは気まずくなることはなく今までと変わらず仕事をしてるけど
でもそれは優しい山田くんがわたしに気を遣わせないように振る舞ってくれてるからだということは…なんとなくわかっていた
それをありがとうなんて一言で片付けられるものではなく、簡単に言葉にはできなかったけど
後輩「まぁでも、よっぽどいい男なんでしょうねぇ。仕事一筋だった先輩をこんな風にしちゃうんだから(笑)」
A「なっ…なに言ってんの!そんなんじゃないから」
後輩「ふふっ、先輩かわいい〜笑 じゃ、彼によろしくです!」
揶揄う後輩を振り切ってオフィスを出た
気づけば身体を突き抜けるような冷たい風は
春らしい柔らかく温かなものに変わり
新しい季節の始まりを告げる
最寄駅に着くと、途中にあるスーパーに立ち寄った
A「…やっぱり、やめとこうかな……どうしよう」
にんじんを手にしながらこの後に及んでも少し不安になって手が止まる
…でも、忙しい平野くんのためにわたしが何かしてあげられることは何かって
悩んだ末に思いついたのは手料理を作ることくらいで
きっと…平野くんなら喜んでくれる
そんな淡い期待と、少しの不安を抱えながら
少し買い込みすぎてしまった買い物袋を手に
彼のマンションへ向かった
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たむ - 素敵な作品をありがとうございます!更新楽しみにしています。 (2021年7月4日 5時) (レス) id: 7855f798e1 (このIDを非表示/違反報告)
akp4(プロフ) - このお話大好きで今日また読み返しました!更新待ってますね (2020年12月20日 3時) (レス) id: af01429ab4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆー(プロフ) - 続き気になります!更新楽しみにしてます(^^) (2020年10月12日 12時) (レス) id: ea80b9bbb5 (このIDを非表示/違反報告)
Airi Lucus(プロフ) - とてもすてきな作品ですね!読めて幸せです。続き楽しみにしてます! (2020年6月26日 22時) (レス) id: f4cd5f6b5f (このIDを非表示/違反報告)
りん - 続編の更新ありがとうございます!主人公と年齢が近いので気持ちに共感しながら読まさせてもらっています(^^)大好きな作品です!更新大変かとは思いますが応援しています! (2020年5月25日 0時) (レス) id: 3e5d36f14c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わわ | 作成日時:2020年5月23日 19時