この手に余る幸せを【約ネバ/短編集】

その毒が貴方を乱すなら2【レイ】(相沢恋) ページ5

呼び出されていたってことは……つまり私がいない間に女生徒達にむらがられていたのか。


ううっ、と頭を抱えてうきゃーん！と鳴いた。





「つっても所詮中学生だ。お前の思っている程の頻度じゃねーよ。数回程度、」



「数回…？一回でもあったの？私がいない間に…そうだよね、人間にも勘はあるものね…いくら私が彼女だっていっても、側にいない時を狙って近づく女なんて五万といるのだわ…うっ殺す…」



「……」


「そ、その…勿論断った…んだよね？」


「勿論つーか、断る以外の選択肢がないだろ。」


「…！ うん、そうだよね…」





断っていなかったら勿論私は気付く。


けれどこう…例外というものはこの世には多数存在するし彼自身の存在だってその例外に等しいのだ。こんなチート普通いない。



そんなレイが私に気付かれないで彼女を、愛人を作ってしまうことだって、不可能なわけじゃない。




「……さっきから、オレの浮気を疑っているのか？」



がっしりと頭を掴まれて睨まれる。掴まれた頭蓋骨が痛い。



「……い、一夫多妻制は認めない主義なの…」


「そうか、同感だよ。……ま、この先もお前がそばに居たら浮気なんてしねーし。安心しろって」



「あっえっ…私でいいの…？」


「……ずっとそのつもりだったよ」


「…あ、あああああうううう」


「馬鹿だな」





声にならない声を出して炎が出そうなくらい赤くなった顔を両手で覆う。



丁度予鈴が鳴って、レイが私の頭を掴んでいた手で前髪をさらりと撫でて教室へと手を引いてくれた。





*:.｡..｡.:+・ﾟ・✽:.｡..｡.:+・ﾟ



「私一生レイの恋人する…なんなら妻になる…ね、私でいいの？いいんだよね？…うええん好き…好き…っ」



べそべそと泣きながら授業を受けること、20分が経過した。


先生も周りの人もビックリである。





隣の席であるレイから、”大人しくしてろ”とノートのはしに殴り書きされてしまった。


ひくひくと喉を鳴らしながらもきゅっと口を結ぶ。



完璧主義で合理主義で他人にはちょっと一線を引いていて。

それでも認めた相手には年相応に接して、それととっても優しくて…。




好きなところを挙げたらキリがない。

いつの間にかべたべたに惚れ込んでいた事を自覚して体が熱くなった。



バレンタインもまぁ悪くないかも、と玉砕していった少女達に少しだけ感謝する。

その毒が貴方を乱すなら(おまけ)【レイ】(相沢恋)→←その毒が貴方を乱すなら1【レイ】(相沢恋)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す