その毒が貴方を乱すなら1【レイ】(相沢恋) ページ4
【著作:相沢恋】
「なにこれ」
「……さあ」
今日は2月15日だが昨日がバレンタインとやらだったらしく、月曜だというのに朝からレイの下駄箱にはプレゼントがゴミのように詰まっていた。
食品なんだからこんなところに入れるなと思いながらも丁寧に取り出して鞄のなかに仕舞う彼をじとりとした目で見る。
「…バレンタイン……ふーん…」
「今年はお前がいるから、例年通り何もないのかと思っていたんだけど」
「ごめんね約立たずな彼女でっ!!」
「……」
私がキレてきたのを察してレイはそっと黙る。
しかし、私はその「好きな人にチョコレートを渡そう(はーと)」だなんて浮かれ切った日本のバレンタインに大変遺憾だ。
というかレイに大量に届くチョコレートを全て燃やしたい気持ちでいっぱいであった。
「……チッ」
教室まで彼の後を着いて行きながら小さく舌打ちをする。
「レイ君これどうぞ…!」
「チッ」
「ああ、サンキューな。」
「レイ様これよかったら食べてください!」
「チッ」
「ああ、どうも。」
「あの、前からずっと好きでした…!」
「あ?なんだこの豚呪い殺すぞ」
「お気持ちは嬉しいのですが今は勉強に集中したいので…」
平和ボケ。浮かれモード。どこもかしこもピンク色。
ああ嫌だブチ壊したい。本当にぶちこわしてやりたい。
何が楽しくて他人のこんな自己満足イベントを見せられなければいけないのか。
好きならもっと本気出せ。腹から声出して行け。
学生の遊びと分かってはいても現代の若者の覚悟のなさにイライラした(同い年だが)、というかレイに近づかないで欲しいのが本音だった。
「………」
顔を真っ赤にして悲しそうに項垂れながらも、ありがとうございました、と眉を下げて笑う少女が去っていく姿を、死角でフッと嘲笑う。
すると、レイが隠れているはずの私に近づき、耳をぐいっと引っ張った。
「に゛ぁッ」
「少し黙ってろ」
「何も言ってないもん、見てないもん」
「そーか、オレの耳には罵詈雑言が聞こえたが」
「バレンタインだからって浮かれすぎなのよ雌豚共が」
胸糞が悪い、と今日何度目かもわからない舌打ちをかますと、チョップとレイのため息が聞こえた。
「今までオレが呼び出されても何も言わなかっただろ?」
「えっい、いつ呼び出されて…」
「…………」
気付いてなかったのか、という視線にダラダラと汗を流す。
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ドラゴン - 神作品の作者さんだらけじゃないですか!全部すごく面白くて‥‥更新頑張ってください! (2019年3月3日 9時) (レス) id: cddb962df9 (このIDを非表示/違反報告)
おうとつ - 作者さん豪華すぎません!?なんと言うか、私得の方々ばかりで…!!見ててすっごく楽しいです!!ぬんさんの触れたいってやつ設定から何まで素晴らしいと思いました!それに相沢恋さんのは夢主ちゃんが可愛くって面白くって!菫の花さんの話もすっごく癒されました! (2019年2月27日 13時) (レス) id: 19c8a82e34 (このIDを非表示/違反報告)
はにかみ - 作者欄が豪華……!ワタ愛完結おめでとでーす!相沢さんの名前を見て速攻来たww応援してます! (2019年2月26日 19時) (レス) id: a2358f35c9 (このIDを非表示/違反報告)
あやあや - ワタ愛終わってしまったので、悲しい気持ちと嬉しい気持ちがごちゃごちゃになりながら見ました!!…本当に面白かったです…。ぬんさんの小説も、シリアスで面白かったです!良いですね、こう言う番外編! (2019年2月26日 18時) (レス) id: 34be4b000a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぬん、菫の花、相沢恋 x他3人 | 作者ホームページ:http://urana
作成日時:2019年2月26日 18時